中央ろうきん助成プログラム

選考結果
スタート助成・3年目/ステップアップ助成対象団体の概要

スタート助成・3年目

精神疾患の当事者による「当事者研究」およびピアサポート活動

群馬県

群馬当事者研究会ピアリンク

精神疾患をはじめとする生きづらさを抱える当事者同士が集まり、当事者研究を通じて繋がりの場を作る活動を行う団体(2011年設立)。

2ヵ年のスタート助成を受け、当事者自身が自らの生きづらさについて研究することにより自己理解を促し、仲間づくりを促進する「当事者研究会」と当事者限定の茶話会「当事者研究Cafe」の運営に取り組んだ。3年目は、この研究会とCaféの月一回の定期開催とともに、これまでの当事者研究の経験をもとにしたメンバーによる講演活動やピアサポート活動を実践している他団体へ赴き、活動の見学、出張当事者研究を行う。これらの活動を通じて団体の基盤を整備することにより、ピアサポート活動の拠点づくりを目指す。

市川冒険あそびぼ

千葉県

市川子どもの外遊びの会

子どもが自らの責任で自由に遊ぶ事ができる外遊びの場として、プレーパークを地域とともにつくり、その運営や運営するメンバーの研修事業および広報活動を行う団体(2011年設立)。

2ヵ年のスタート助成を受け、これまで不定期であったプレーパークの月1回の定期開催や乳幼児向けのプレーパークの実施、そしてプレーパークの参加者から活動の担い手へと育成する取り組みを行った。3年目は、プレーパークの定期開催回数を月1回から月2回に増やし、また、乳幼児向けのプレーパークを開催し、参加年齢層の幅を広げる。あわせて担い手であるプレーワーカーの養成講座も実施する。将来的にプレーパークの常設化に向けて理解者や協力者を増やしながら、地域や行政との連携強化をはかる。

発達凸凹を抱える子とその家族の幸せプロジェクト

東京都

特定非営利活動法人発達凸凹サポートデザインかたつむり

発達のつまずきや情緒のアンバランスさを抱える子ども達(発達凸凹を抱えた子ども)を地域で支え、自立していくための多角的なサポートを行う団体(2007年設立)。

2ヵ年のスタート助成を受け、未就学児とその親を対象に、音楽を感じながら体を動かす「クリエイティブ音楽ムーブメント」を開催するとともに、発達凸凹を抱えた子どもたちを育てる母親のための連続講座を実施した。3年目は、引き続き「クリエイティブ音楽ムーブメント」の連続プログラムや母親のための講座の実施とともに、これまでの講座受講者の中からピアメンターを育成する講座を新たに行う。参加者同士が共に支え合う繋がりの場を充実させ、会員の増強をはかりながら自立した事業展開を目指す。

地域に共に生きる外国人たちの安心して自立した生活へのサポート事業

神奈川県

ひまわりの会

文化や習慣の違いにより様々な障害や困難に立ち向かっている地域の外国人に対し、地域で共に生きるために様々なサポートを行うことを目的とした団体(2009年設立)。

2ヵ年のスタート助成を受け、地域に住む外国人の子どもたちの学習サポートに加えて保護者向けに日本語教室や子育て支援を行った。3年目は、日本語を話せない子どもたちが地域で増えていることを背景に、特に高校進学を目指す子どもたちの学習サポートに力を入れる。ボランティア体制の整備を行い、子どもの語学力や学習レベルに寄り添ったサポートとあわせて日本文化についても学べる機会を提供するなど、支援事業の基盤固めに取り組む。

コミュニティカフェを基盤とした生き難さを抱える人たちの支援の場づくり

神奈川県

特定非営利活動法人スペースナナ

横浜市青葉区にオープンしたコミュニティカフェを拠点に、世代や性別、障がいの有無、国籍などに関わらず、誰もが安心して交流できる場づくりを行う団体(2010年設立)。

2ヵ年のスタート助成を受け、連続講座「地域でゆるやかに支え合う場をつくろう」を実施してきた。1年目は、障がいを持つ子どもたちとその家族、また引きこもり当事者や家族などがつながることをテーマに、2年目は、支援の手が届きにくい若者たちの問題をテーマに取り上げ、各専門家や支援団体とのネットワークを築いてきた。3年目は、社会的包摂をテーマに連続講座を実施する。講座の最終回には、困りごとを抱える人たちと何かを始めたい人とを繋げる「困りごとワークショップ」を実施し、参加者同士のネットワークづくりを目指す。

子育て支援 楽つみ木ワークショップで地域とつながるキャラバン活動

山梨県

ピア コミュニティ nuku nuku

主に病気や障がいを抱えた子どもを育てる家族が安心して集える地域コミュニティの場の提供と一人一人に寄り添える相談の場や情報ネットワークの充実を目的とした団体(2011年設立)。

2ヵ年のスタート助成を受け、つみ木を使った療育活動「楽つみ木」ワークショップを実施し子どもとその家族、そして参加者同士の交流をはかってきた。また、「楽つみ木」の魅力と障がいに対する理解を広めるため、「キャラバン隊活動」として支援学校でのワークショップの実施や地域イベントへの参加など、活動を外部に発信する取り組みを行った。3年目は、この「キャラバン隊活動」をさらに発展させ「楽つみ木」ワークショップを保育所や公民館、障がい者施設等で実施し、地域連携の一歩につなげる。より地域に根差した活動を展開することで、子どもたちの将来を支える地域の基盤づくりに取り組む。

ステップアップ助成

自閉症支援者を支援する~支え合いの場、NPO 法人化へ~

栃木県

あるべき支援を考える会

自閉症支援者が、職場や職種を超えて各々の現場で抱えている課題を共有し、元気に前向きに支援に取り組めるよう支え合う仕組み作りを目的とした団体(2007年設立)。

3ヵ年のスタート助成を受け、活動継続のために自立採算に向けた体制づくりに取り組んだ。主軸の活動となる自閉症セミナーや定期勉強会は、団体の自主運営で計画的に実施可能となり、各機関からの共催協力や広報協力も継続的に得られるまでに至った。また自閉症支援者のためのカフェミーティング「ほっとひといきカフェ」では、支援者自らが語る魅力的で意味のある実践内容をお互いに共有することで、前向きに仕事に取り組むパワーを生み出す機会となっている。

ステップアップ助成では、これまで培ってきた支援者支援のノウハウを集約及び整理し、再発信できる団体として、さらには地域で支援が困難とされているケースにも対応できる団体として成長するために、実施スタッフのスキルアップを図る。また行政や関係機関と協働していけるよう組織基盤を整え、NPO法人の取得を目指す。選考委員会では、着実に事業展開を図りながら、地域での信頼を獲得し、次の目標に向けて組織体制を強化する試みが評価された。団体が担うべき役割や将来ビジョンを再確認しながら、一歩一歩足元を固めつつ活動を展開していくことを期待し応援したい。

介護者支援プロジェクトⅣ~医療連携型認知症カフェを地域に開く~

東京都

特定非営利活動法人杉並介護者応援団

介護者・要介護者にとっての地域のたまり場(介護者の会)づくりとその継続的なサポート活動を軸に、行政、専門機関、専門職およびボランティア等との連携をはかり、介護者支援のネットワーク作りを行う団体(2006年設立)。

3ヵ年のスタート助成を受け、男性介護者の支援を目的とした「男性介護者の会」や「晩めし屋」の立ち上げと運営、さらにこの活動を継続して実施できるよう、スタッフの養成研修にも取り組んだ。また3年目には高齢者虐待予防・防止として、地域包括支援センターと連携し、虐待ゼロキャラバン隊による劇の出前上演を行い、小学生や介護の必要のない若い世代、また関係機関や専門職など多くの対象者に向けて広く周知を図った。

ステップアップ助成では、杉並区内において、専門病院で認知症の確定診断を受けた患者の家族を速やかに介護者の会につなげるための仕組みづくりと、その中核として誰もが気軽に立ち寄れる医療連携型認知症カフェの立ち上げを目指す。選考委員会では、介護者支援に必要とされるニーズを上手にキャッチし、多様な関係機関と連携しながら着実に活動を展開している点が評価された。幅広い活動に対応できるようスタッフ体制も充実させながら組織基盤の安定を図り、先駆的なモデルとして全国に発信していくことを期待し応援したい。

障害者の孤立防止と社会参加促進事業

山梨県

特定非営利活動法人バーチャル工房やまなし

重度障がい者が自宅に居ながらも、ICT技術を利活用することで社会との繋がりを持ち、仕事を得て働くことにより、社会的・経済的・精神的にも自立する支援と、そのためのICT技術の向上、利活用の支援を行う団体(2009年設立)。

3ヵ年のスタート助成を受け、障がい者がICT技術による在宅就労に必要な支援を得るために、①在宅就労セミナーやICTの技術講習会の開催、②山梨県下のイベントへの参加、③ホームページやソーシャルメディアの活用による広報活動等に取り組んだ。その成果としてICT技術による在宅就労の理解が障がい者自身にも広まり、また様々な企業や団体とのネットワークも生まれ在宅就労にもつなげることが出来た。

ステップアップ助成では、これまで取り組んできた活動の充実を図るとともに、引きこもりがちな障がい者に対して、地域の人々との交流の場となるコミュニティ広場の開設を目指す。この場に参加する障がい者がお互いに悩みや不安を共有することで孤立感を防ぎ、また地域の人々との交流を通して、社会参加の一歩につなげる。選考委員会では、きめ細やかに当事者の支援に取り組み、在宅就労の事例を積み重ねている点が評価された。これまで成し得た事例の検証に取り組み、地域を超えて理解者や賛同者を増やしながら着実に展開していくことを期待し応援したい。