中央ろうきん助成プログラム

選考結果
スタート助成・3年目/ステップアップ助成 対象団体の概要

スタート助成・3年目

滞日ネパール人コミュニティリーダーのスキルアッププロジェクト

栃木県

滞日ネパール人のための情報提供ネットワーク

日本で長く暮らしているネパール人とネパール人支援に関わる日本人が、ともに教育や保健医療に関する情報の提供、及び通訳や研修講師の紹介に取り組む団体(2015年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、「外国人をサポートするための生活マニュアル」の抜粋版をネパール語で作成し、テーマ別にワークショップ等を開催したところ、ネパール人だけではなく、自治体や外国人支援のNPOにも団体の認知度が高まった。その結果、通訳や研修を担う機会も多くなり、スタッフも5名から9名に増やすことが出来た。
3年目は、高まる要望に応えるためにリーダーを育成し、また外国人支援団体との交流を通じて組織基盤の強化に取り組む。さらに他の外国籍住民も含めたニーズを把握し、協力団体とともに地域社会に広く届けていく。

アリスの広場(不登校やひきこもりなどの若者の居場所)

群馬県

特定非営利活動法人ぐんま若者応援ネット

不登校や引きこもり、ニートの若者が、家から一歩外に踏み出す機会の場となるフリースペース「アリスの広場」を開設し、交流と相談事業を通じて、当事者とその親の支援に取り組む団体(2014年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、「アリスの広場」に訪れた若者を、ボランティアスタッフ・仲間との交流や様々な体験を通じて自信を取り戻させ、復学や進学、一人暮らしへとつなげることが出来た。また教職員研修会の講師依頼も増え、団体の認知度も高まりつつある。
3年目は、引き続き「アリスの広場」の運営をしながら、就労体験の受入れ先となる企業を開拓する。また団体独自でも就労体験の場となる「アリスの食堂」開設に向けた準備に着手し、若者の状況に合わせた支援体制を構築していく。

定時制生徒一人ひとりにチューターを!
~早めの目標設定と進捗サポートで退学防止と卒業後の進路の選択肢を広げる~

埼玉県

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「親に振り回される子どもを救う」、「親からの自立をサポートする」ことを目標に、親のことで悩んでいる学生に対して、就職及び進学の支援等に取り組む団体(2014年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、定時制に通う生徒が卒業後の目標を定め、そして自分に適した進路を選択できるよう、国が推進する「高大連携」案として大学生が彼らをサポートするチューター制度を埼玉県に提起し、住み込み可の就職先の開拓やその仕組み作りに取り組んだ。各関係機関に地道に働きかけながら理解の輪を拡げ、協力者を増やしつつある。
3年目は、引き続きチューター制度構築に向けてのリサーチと各関係機関との調整を行いながら、社会人チューターのプレ運用を通して実績を重ね、将来的には大学生を中心とした支援体制の礎を築く。

地域での食のセーフティネット事業

東京都

特定非営利活動法人フードバンク狛江

狛江市において、まだ充分に食べられる食品の寄贈を受け、地域に密着しながら、生活困窮者や福祉施設・団体に届けることで「食の分かち合い」の発信に取り組む団体(2014年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、市や社会福祉協議会と共催の講演会や各種イベントの参加による周知を行ったことで活動の認知度が向上。また、常設の食品寄贈受付場所を2カ所増設することで年間の食品出荷量を増やすことができた。
3年目は、相談窓口に来ることのできない世帯へのアプローチを試みる。福祉団体等とともにシンポジウムを開催し、潜在化している生活困窮世帯の掘り起こしと支援に繋げていく。また、必要な世帯に十分な食品を提供できるよう、イベント等でフードドライブへの参加を呼びかけていく。

なにしよっかクラブ

東京都

さきちゃんち運営委員会

子どもが多世代と交流し、地域の大人に見守られながら育つ場「さきちゃんち」の運営管理を行い、子育てサロン、子ども図書館、子どもによる遊び場づくりなどに取り組む団体(2015年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、子どもの「やりたい」から生まれるプロジェクトを一緒に考えて実現する「なにしよっかクラブ」を実施した。子どもとの関係づくりを丁寧に行うことで、子どもが自ら活動や企画を生み出せるようになり、参加人数も確実に増えてきた。
3年目は、「子どもたち自身での発信」に重点をおき、プログラミングやHP等での発信スキルが身に付くようサポートする。そして自ら実現したいことを言葉にし、他者に伝える経験を通して、子どもたちの可能性を広げていく。

「もったいない!」をみんなの笑顔に~小さな村のジャムづくり~

神奈川県

特定非営利活動法人結の樹よってけし

人口減少や高齢化が進む神奈川県内で唯一の村・清川村において、地域住民が安心して生活できるコミュニティづくりと生きがいづくりを目的に食事提供・弁当宅配、交流促進事業などを行う団体(2014年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、地域住民と協力して管理放棄・未収穫の果樹園等から柚子や梅、ブルーベリーなどを収穫しジャム加工・販売を行ったところ、地場産品として完売するほどの人気となった。また、未利用果樹園の再活用が行われたことで所有者の樹木の管理意欲の増進に結び付いた。
3年目は、引き続き、ジャム加工商品の生産販売を行い、地域住民や清川村を熟知した有識者や企業、学生を巻き込みながら地域の活性化を目指す。

ステップアップ助成

3世代を繋ぐ地域みんなの子育てネットワークの構築
(継続的活動のためのシステムづくり)

茨城県

一般社団法人子育てネットワークままもり

つくばエクスプレスの開通に伴い、数多くの子育て世帯が転入している守谷市において、安心して子育てが出来る環境づくりを目指し、地域住民との交流促進を図るイベント企画・運営に企業や行政と連携しながら取り組む団体(2011年設立)。
3ヵ年の助成を受け、地縁のないママたちが子育てに関する不安を解消するための情報冊子を発行し、その過程で商工会やシニア世代とのつながりが生まれ、地域連携の基盤を築くことが出来た。さらに皆が集まることのできる活動拠点を市役所近くに借上げたことにより、活動の幅がより一層拡がった。
ステップアップ助成では、蓄積してきた活動内容と地域との連携を活かしながら、今後の活動を自己財源で展開するための仕組みづくりを行う。具体的にはこれまで取り組んできた木育活動を通して団体が自立運営できるよう、茨城県の間伐材・県産材で木のおもちゃを製造するための機材を導入し、シニア世代やママ達が木のおもちゃを製品化し販売していく。あわせて木のおもちゃを通じて多世代交流を目指したワークショップや、子育て支援センター等で子どもたちが木に触れる機会も提供していく。
選考委員会では、スタート助成の3年間で多くの協力者や支援者を巻き込みながら、計画性と戦略性をもって着実に実績を積み重ねきたことが評価された。今後は安定的に活動が継続できるよう組織基盤を整え、活動拠点が地域交流の場として機能することを期待し、応援したい。

まちに水力のあかりを灯すプロジェクト

栃木県

鹿沼自然エネルギー推進会

鹿沼の自然環境や生活を守りながら、自然エネルギーの普及・推進と地域の活性化を目的に、小水力発電機の製作と実証実験、市民向けセミナーに取り組む団体(2012年設立)。
3ヵ年の助成を受け、自転車ハブダイナモ小水力発電機(ハブダイナモ=自転車の車軸の回転により発電する装置)、太陽光発電機を組み合わせたハイブリット型、また発電能力の高い風力用の直流発電機を利用したH型小型水力発電機の製作を行い、農業水路などでの実証実験により改良を重ねてきた。また市民向け自然エネルギーセミナーを開催したことで団体の認知度が高まり、地元の中学校や自然保護団体、土地改良区等との協力関係も築くことが出来た。
ステップアップ助成では、H型小型水力発電機の改良を進めながら、具体の実用化に向けて、下沢引田土地改良区をモデル地域として「まちに水力の灯りをともすプロジェクト」を立ち上げ、市内各所に水力による街路灯設置に取り組む。またH型小型水力発電機の作り方と活用の手引きをまとめた小冊子を発行し、農業用水路等で小水力発電設置に関心のある人に向けて普及啓発を図る。
選考委員会では、発電機の製作だけではなく具体の実用化に向けて、地域や学校を巻き込みながら活動を展開していることが評価された。今後は資金獲得も含めた中長期的な目標をしっかりと団体内で話し合い、持続可能な活動を目指しながら積極的に地域に働きかけることを期待し、応援したい。

日本語を母語としない人のための受診・健診・防災 安心サポート

群馬県

特定非営利活動法人群馬の医療と言語・文化を考える会

言語や文化の壁なく、皆が手をつなぎ、大切な命や健康を守ることができる社会の実現を目指し、日本語を母語としない人が、適切な医療サービスを受けられるよう、医療通訳の養成・派遣、普及活動に取り組む団体(2013年設立)
3ヵ年の助成を受け、県内すべての病院を対象にアンケートを実施し、外国人受入れ体制や意向を調査した。その結果をシンポジウムで報告し、在住外国人が抱える課題と支援の在り方における意見交換をきっかけに、地域の各関係機関との連携を構築することが出来た。さらに医療通訳者派遣事業を団体独自で開始したところ、その実績が群馬県で認められ、群馬県の派遣業務を受託するに至った。
ステップアップ助成では、大幅に増えた医療通訳者派遣業務と外国人からの相談依頼に対応するために外国人コーディネーターを2名増員する。また派遣業務以外の地域啓発活動、医療機関や行政との連携づくり、また活動継続のための資金獲得等の多くの業務を抱えている現コーディネーターの勤務時間を増やし、業務内容に見合った人件費を確保することで、事務局体制を強化する。
選考委員会では、団体内でしっかりとミッションが共有されており、また在住外国人に対する支援の必要性を各関係機関に働きかけながら、着実に派遣業務の実績を重ねていることが評価された。今後も多くの理解者と支援者を獲得しながら、将来的には制度化を目指して、活動が展開されることを期待し、応援したい。

更年期を迎える女性の健康を支える輪を作る
「ちぇぶらシアター」プロジェクト

埼玉県

特定非営利活動法人ちぇぶら

現代社会ではサポートが薄い、更年期を迎える女性に対して、自らが健康を選択できる社会を目指し、これから更年期を迎える世代への知識の普及と意識の改革を目的とする団体(2014年設立)。
3ヵ年の助成を受け、定期的な運動教室と、互いに悩みを共有できるイベント「ちぇぶらCafé」を実施。多くの参加者に活動を周知することができた。また、更年期の女性をサポートする人材をeラーニングとスクーリングにより養成し、現在までに全国各地で26名の伝え手が誕生している。また、イベントに足を運べない人たちのために、ウェブサイトを整備。更年期に関する動画を作成し、必要な人たちに情報が届くようコンテンツの充実と発信の強化につとめた。これまでの活動を経て、参加者が比較的ヘルスリテラシーの高い層に留まることや、更年期の女性の健康については、周りにいる人たちの理解と協力も必要であることが分かってきた。
ステップアップ助成では、広く一般に更年期について周知をはかるために、新たなコンテンツとして「ちぇぶらシアター」プロジェクトを展開。内容は、更年期によくある症状についての「おとな女子川柳」の募集や、更年期の相談内容と対策を分かりやすく動画でまとめた「ちぇぶらチャンネル」の作成、ファミリーで楽しく鑑賞できる「劇団ちぇぶら」を実施する。
選考委員会では、これまでの活動で着実に仲間を集め、次の展開が導き出されたことが評価された。今後、女性のみならず更年期を迎える男性へのサポートの充実や、更年期が個人任せのものとならず、広く一般化されることを期待し、応援したい。

認知症高齢者や知的・精神障害者にも当たり前の幸福を!
(親も親族も市民も互いに後見人となり一緒に扶けあえる社会の実現)

千葉県

特定非営利活動法人市民後見太陽

高齢化が進む富里市において、増加する独居者や障害を抱えながら障害年金が受給できない等、行政サービスの谷間にいる人たちに対し成年後見人等の利用促進と人材育成に取り組む団体(2013年設立)。
3ヵ年の助成を受け、成年後見制度に関する毎月の勉強会と相談会を実施し、活動が広く周知されるようチラシの作成と配布を行った。1年目は相談者が少なく苦戦したが、地道な活動の結果、富里市からの成年後見制度普及推進事業の受託に結び付き、定例勉強会の参加者も年間250名を超えた。また、市民後見人の養成講座を実施し、これまで2名であった担い手が6名となった。
ステップアップ助成では、認知症のみならず障害を持つ人たちも適切なサービスを受けられていないという課題認識から、精神障害者の親の会「サルビアの会」と協働し、後見制度の勉強会を行う。申立、公正証書や遺言書等の作成までを行い、会のメンバーそれぞれに相応しい後見対応を探る。また啓発のためのセミナーや市民後見人の養成講座も引き続き開催し、市民の理解を拡げていく。
選考委員会では、社会的ニーズの高い事業に挑戦し、専門家や各関係機関との連携を構築しながら、スタート助成の3年間を地道に取り組み、実績を重ねてきたことが評価された。今後も、身近な後見制度を他の団体にも伝え広げていき、持続的な活動基盤が作られることを期待し、応援したい。

地域資源の有効活用、人々の支え合いで住み良い街づくり

山梨県

特定非営利活動法人みんなの街

少子高齢化に悩む田舎と、田舎暮らしを希望する都市生活者の双方が幸せに暮らせる環境を創り出すことを目的に、空き家や耕作放棄地などの有効活用、空き家データベースの作成、移住相談・支援に取り組む団体(2014年設立)。
3ヵ年の助成を受け、地域で利用されていない空き家を改修し、気軽に移住体験ができる「お試し滞在施設」の開設と運営、自然体験や田舎暮らし体験の提供、また、都会からの移住者がすぐに生活できるようシェアハウスの提供などを行った。
これまでにお試し滞在施設を2棟開設し、移住支援活動を通して13組が移住に結び付いた。地元での認知度も向上し、各種メディアに取り上げられたり、視察の依頼も来るようになった。一方、人手や資金、都心への広報力が不足していることから、活動の継続に向けて、さらに理解者や支援者を増やす必要性が見えてきた。
ステップアップ助成では、新たにお試し体験施設を2棟開設し、移住希望者には実際に空き家を改修して住環境を整えるDIY体験を提供する。移住相談では、地元住民へのつなぎや仕事の斡旋も行い、移住へのハードルを下げる。これらの活動を通して街の活性化につながるモデルケースとして広く発信し、支援者の獲得を目指す。
選考委員会では、3年間の助成で実際に多くの移住につなげ、地域に根付いた活動を展開していることが評価された。今後、移住希望者の自発的な活動につながるよう、組織体制を充実させるとともに、事業モデルが全国に波及されることを期待し、応援したい。