中央ろうきん若者応援ファンド

インタビューコラム
いま、なぜ若者応援が必要なのか?第1回

第1回

若者の雇用。従来の「メンバーシップ型」から新たなシステムの確立へ

日本ILO協議会専務理事 長谷川 真一さん

はせがわ・しんいち
1950 年生まれ。厚生労働省で長く雇用労働政策に携わる。
LO(国際労働機関)にも約10 年勤務。現在も労働分野の国際交流の仕事を続けている。

リーマンショック以降、長期失業者が世界的に増えてきました。欧米では、技能をもたない若者が真っ先に失業すると考えるのが常識ですが、新規学卒一括採用が一般的な日本では、若者より中高年のほうが厳しいと考えられてきました。 欧米の雇用形態は「ジョブ型」です。職務をこなせば給料がいくらと決まっています。一方、日本は「メンバーシップ型」で、組織のメンバーにさえなれば、どんな職務をするかは会社が決めてくれていました。

ところが新規学卒者を会社が育てる“正規労働者の世界”が縮小し、新卒で就職できない人はその後正社員になる機会が少ないなど二極化も進んでいます。労働者の権利が保障された「ディーセント・ワーク(まっとうな仕事)」に就けない若者の増加が、日本でも欧米並に問題となってきており、新たなシステム確立の必要性が議論されつつあります。

仕事は社会参加の重要なファクター。その機会を失い社会的に孤立した若者をどうやって包摂するのか、多様な取り組みが行われている欧米でも答えは出ていませんが、重要な課題であるのは明らかです。日本でも今後、現場の声を聞きながら、トライアル&エラーを繰り返していくしかないと思います。

また、日本では若者の努力不足だと思っている人も多く、十分に社会的理解を得られていない若者の雇用問題に中央ろうきんが関心を寄せ、社会に伝えていこうとしているのは十分意義のあることだと期待しています。

「ビッグイシュー日本版」第239号(2014年5月15日発売)より転載