中央ろうきん若者応援ファンド

インタビューコラム
いま、なぜ若者応援が必要なのか?第2回

第2回

非正規労働でも安心して暮らせてグローバルな人が育ち、底上げされる社会を

社会活動家・法政大学現代福祉学部教授 湯浅 誠さん

ゆあさ・まこと
1969年、東京生まれ。95年から野宿者の支援活動を始め、貧困問題に関する活動と発言を続ける。著書に『ヒーローを待っていても世界は変わらない』など多数。

若者の貧困・就労をめぐる一番の変化は非正規労働が一般化したことでしょう。会社にしがみつかない生き方が良くも悪くも「普通」になり、男性も家事、育児をやって当然というふうに、ジェンダーの縛りからも少しずつ解放されてきました。

とはいえ非正規の9割は年収200万円以下、結婚して共働きしても400万円程度。しかも、夫婦共働き家庭の方が多いという状態は20年近く続いているのに、それを支える仕組みが追いついていない。非正規でも共働きすれば安心して暮らせて、子どもが望めば大学まで行かせられる世の中にする必要があります。

今、ひきこもりや長期失業など就職が困難な若者支援の現場では、中間的就労の場をつくる試みも行われています。仕事と同時に、最も費用がかかる養育、教育、住宅、この3つをコストダウンすれば、そんなに収入が上がらなくても暮らしていけます。

地域の若者支援の現場では、外の人間を積極的に巻き込んで若者への理解を広げています。地域は企業よりも構成員の多様性が高く、ここでいろいろな人と物事を進めることができれば高い対話力が身につきます。それは、グローバルにも通用する人材です。そうしたことが積み重なっていけば、結果として社会全体の力が底上げされ、日本は経済的に弱体化するどころか、大いに発展すると思いますよ。だから若者支援の充実は、若者のため以上に日本社会のためなんです。

今回、中央ろうきんが若者支援に取り組もうとしているのは、それ自体が先進的な取り組み。これを第一歩に、時代の流れを推し進めてください。

「ビッグイシュー日本版」第241号(2014年6月15日発売)より転載