中央ろうきん助成プログラム

選考結果
2015年助成の選考について

選考委員長による選後評

選考委員長 赤塚 光子

選考委員長

赤塚 光子

特定非営利活動法人全国障害者生活支援研究会 会長/元立教大学 教授

表出している課題も潜在している課題も

~頼もしい助成プログラムの拡がり~

2015年中央ろうきん助成プログラム「個性が輝く“ひと・まち・くらし”づくり」の助成団体が決定いたしました。

今年の応募総数は245件、昨年よりやや多い応募状況でした。各都県での予備審査を経て本審査対象となった応募プロジェクトは、スタート助成1年目が62件、2年目が21件、3年目が14件、ステップアップ助成が4件、計101件でした。本審査の選考委員会では、応募書類をもとに、活動の目的や内容、実施体制などを中心に白熱した議論が展開しました。その上で、選考委員の総意として58団体を採択いたしました。内訳は、スタート助成1年目が30件、2年目が16件、3年目が11件、ステップアップ助成が1件です。採択された団体のそれぞれには、中央ろうきん助成プログラムの仲間として、“ひと・まち・くらし”づくりを牽引する役割を十分に果たしていただけるだろうと期待しているところです。

今年も、応募団体の活動対象や内容は多岐にわたっていました。“ひと”づくりの対象は「子ども」、「配慮が必要な子ども」、「障がいのある人たち」、「若者」、「高齢者」、「シングルマザー」、「外国籍の方たち」など、多様です。活動内容は、「発達障がい支援」、「就学支援」、「就労支援」、「日常生活支援」、「介護者支援」、「社会参加支援」、「自立支援」、「権利擁護支援」「スポーツ活動支援」など、これも多様です。

それらは主として、生きづらさや暮らしづらさなどとして表出している課題への対応です。現行の制度や施策では足りないことが存在していることの証であり、応募団体の多くはそれらを補完して、「我がこと」として捉えながら、誰もが安心して暮らせる快適な社会を目指そうとしています。また関係する多くの方たちとの協働を意図したさまざまな工夫があり、当事者の力を引き出してともに歩んでいこうという取り組みもみられます。さらには、潜在しているけれどもそのまま放置しておきたくない課題にも目を向け、活動をとおして将来を切り開いていこうという取り組み、例えば、子どもたちや若者たちの社会的自立に向けた支援なども目立つようになりました。まさに“ひと”と“ひと”との先を見据えた新しい関わりへの提案が感じられました。

“まち・くらし”づくりとして開始される活動も「コミュニティ」、「食育」、「緑化」、「農園」、「エコ」、「古民家」、「自然や海の環境」など多様であり、しっかりと地域に視点をあてて大事にしていきたい課題が並んでいます。まだ目が向けられていない潜在している課題を顕在化させていこうという取り組みとしても、大変期待されるところです。

どの団体のどの活動にもさまざまな“ひと”たちが登場し、活動の中で広い結びつきが生まれ、それが“くらし”に働きかけています。活動の舞台は“まち”。それは、中央ろうきん助成プログラムがもつ、さまざまな課題に焦点をあてながら社会を活性化していく役割であり、道筋なのでしょう。

中央ろうきん助成プログラムは、私たちがもっと楽しく、もっと心地よく暮らすことができる社会にしていこう、もっと人にも自然にもやさしい社会をつくっていこうという意思を出発点にしています。それを形にしていく取り組みを、皆さんと一緒に育てていきたいと強く願っているところです。