選考委員長
黒河 悟
労働者福祉東部ブロック協議会 会長
今年はスタート助成1年目の募集は行われず、スタート助成2年目及び3年目とステップアップ助成の選考となりました。予備審査を経た団体について、本審査では、スタート助成2年目は書類選考、3年目は書類選考とポスターセッション、ステップアップ助成は書類選考とプレゼンテーションによって、じっくりと2日間かけて選考を行いました。
まずスタート助成2年目の団体ですが、中央ろうきんの助成を昨年初めて受けたという責任感を背にして苦労された跡が、書類を審査していてもそれぞれに感じられました。当初の計画通り順調に進められたところ、直面した課題を克服しながら進んだところ、更には活動の前提にしていた条件が崩れてしまい悪戦苦闘を余儀なくされたところ、いろいろでした。でも、それぞれの経験が今後の活動の糧になるのは間違いありません。
スタート助成3年目の団体は、やはり活動の積み重ねが蓄積されていることを感じさせるものでした。活動をしている地域に根付いてきていることはもちろんのこと、地域に無くてはならない存在、必要な存在になりつつあります。その意味では審査も活動の良し悪しというよりは、中央ろうきんの助成が今後の活動を継続して進める上で必要かどうかも論点のひとつでした。また、助成3年目の活動は次のステップアップ助成に応募していくかどうかを判断するものでもあります。その意味では、3年目の活動が是非ともステップアップ助成への応募を視野に入れた活動として展開されることを期待したいと思います。
次にステップアップ助成についてです。応募団体は、言うまでもなく2年ないし3年間のスタート助成を受け、活動を蓄積してきた団体であり、それぞれが素晴らしい活動を進めています。また、これまでの活動報告やパートナーミーティング(贈呈式)・フォローアップミーティング(中間報告会)などにより、選考委員も応募団体のこれまでの活動は知っていましたが、特に今回のプレゼンテーションで、より団体や活動への理解が深まり選考委員会での議論も大変活発なものとなりました。応募団体も各都県に散らばっていますし、活動のテーマも多彩です。選考基準の「これまでの活動の実施や成果、活動内容の発展や展開」は言うまでもなくそれぞれ高く評価できますが、その上に立った飛躍、まさにステップアップの名に相応しい課題設定や応募計画か、そして助成終了後の展開への繋がりなどをどう描いているか等を議論し、採択を決めました。採択された団体には、今年だけではなく先を見据えての活動を是非お願いしたいと思いますし、不採択の団体の今後の健闘も期待したいと思います。
さて、選考全体を通じて感じたことに触れたいと思います。一つは応募書類についてです。選考委員は選考にあたって応募書類を読み込みますが、必要事項が漏れていたり、予算などの数字が間違ったりしているところが見受けられました。また、応募団体が何をしたいのか、どうしようとしているのかが明確に伝わらないところもありました。助成を受ける以上、相手の理解を深め、共感と信頼を得ることは応募書類の作成から始まります。難しく書くことではなくシンプルで構いません。そこから団体自らの信頼を作り上げてください。二つめは、担い手の成長です。ひとりの力は微々たるものでも、手を取り合えば大きな力になります。組織の成長は人の成長です。選考委員会でも人の輪の拡がりや組織の成長を見させていただきました。代表者や事務局がひとりで請け負うのでなく、みんなの知恵や力を借りることが大切です。三つめは、地域の他団体との繋がりをもっと自分たちから積極的に求めてもらいたいと感じました。今年はNPO法が制定されて20年になります。地域には、皆さんの活動に先駆けた活動や市民活動を支援する組織が存在しています。他組織の活動は財産です。ぜひ一度外に目を向けてみましょう。
今回、助成プログラムに応募された団体がそれぞれの地域で活き活きと活動される姿を思い浮かべながら選後評とします。