茨城県
息栖の森 自然共生を図る会
息栖の森(里山)地域において、土砂災害等の被害防止や自然環境の保全を図るとともに、地域住民が訪れ、交流の場になることを目指して環境整備に取り組む団体(2015年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、息栖の森に地域住民の誰もが訪れることができるよう、不法廃棄物の回収や間伐を行いながら、親水水路とそこにつながる遊歩道の造成、および季節ごとに楽しめる花木を植栽した。また子ども達が遊べる遊具類を充実し、カブトムシ養殖小屋も設置した。活動を通して地域における公園の認知も高まり、親子連れの来訪が増えつつある。
3年目は引き続き、不法投棄の回収や間伐を行いながら、憩いの場となる東屋の設置や子ども達が遊べる芝スキー場の造成、駐車場の拡張などを行い、2019年度内に公園としての完成を目指す。
茨城県
特定非営利活動法人 たまり場ぽぽ
転入者が多いひたちなか市において、子育て中の親がお互いに不安や悩みを共有する「たまり場ぽぽ」の運営やホームスタート(家庭訪問型子育て支援)に取り組む団体(2015年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、孤立育児を支えるためのホームスタート事業の立ち上げに向けてオーガナイザー(調整役)研修とホームビジター(家庭訪問ボランティア)養成講座に取組み、2018年4月より開始することが出来た。またホームスタートで元気になった母親が集う子育てサロンの充実を図るためにスタッフ研修と参加者のニーズ調査を行ったことで、スタッフ間の活動に対する意識を高めることが出来た。
3年目は子育てサロンを卒業した母親達が、自分の持っている資格や経験を活かしながら働けるよう、地域企業の協力を仰ぎ、説明会ブースを備えた「ぽかぽぽフェスティバル」を開催する。
群馬県
群馬車いすジュニアテニスチーム 上州W-inds
スポーツ体験や余暇活動をする場が特に少ない車いすユーザーの子どもたちが、心身の健やかな成長を促すことを目的に、様々なスポーツ体験が出来る場の提供に取り組む団体(2016年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、車いすユーザーの子どもたちに、本格的な車いすテニスの練習の機会を定期的に提供したことで、大会などで優勝・入賞するまでになった。また誰でも参加できる車いすテニス体験会やテーブルサッカーの交流体験会も定着し、特にテーブルサッカーは健常児の参加が増え、障がいがあるなしに関係なく皆で楽しむ機会となった。
3年目はこれまでの活動を継続するとともに、車いすの練習だけで大会に参加したことのない子ども達向けに、団体主催のテニス大会を開催する。大会には県内でテニス部に所属している学生やシニア、地元企業にも声をかけ、県内での理解を促進する。
群馬県
なんもく大学
日本一高齢化が進む群馬県南牧村で、主に都会の若者を中心に、里山の素晴らしさと生きる力を学ぶ現代版寺子屋「なんもく大学」を開講している団体(2015年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、なんもく大学の活動のシンボルとなるツリーハウスを都会に住む人と村民が一緒になって建設し、まずは土台となるデッキが完成した。また作業だけではなく、村の伝統芸能や伝統行事、自然遺産などを学ぶ授業も開講し、南牧村の理解が深まるとともに村民との交流の輪が拡がってきている。これらの活動を通して、全村民の半数以上がなんもく大学の活動を理解するに至った。
3年目は引き続き、ツリーハウスの建設作業を進めるとともに、南牧村の認知を更に高めるために紙媒体やSNSなどを用いて広報促進に努める。また将来的にNPO法人化を目指し、組織体制の見直しと強化を図る。
千葉県
にこりこワーカーズ
地域の活性化や住みやすい地域と住まいづくりを目的とし、イベント開催や講座開講などの活動を通して、多世代交流や生活支援などのライフサポートに取り組む団体(2017年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、出産・育児のために離職したが、あらためて働くことを希望している女性達を対象に、以前の経験や仕事のスキルを活かせる講師の募集を行った。講師希望者にはイベント内容の企画検討や当日運営などのサポートを行い、託児には地域のシニアに協力を依頼した。開催したイベントの評判はいずれも高く、彼女たちの自信につながった。また活動を通して自治会や区役所、地域商店街とのつながりも生まれ始めた。
3年目は新たにシニア層も講師募集の対象とし、多世代の関わりを深める。これまで地域内で培ってきたつながり作りを団体内でノウハウとして蓄積し、次年度以降、事業として成り立つよう、検討を進めていく。
東京都
松が丘見守り隊
認知症高齢者に寄り添い、見守り、共に暮らす地域づくりの拠点として、松が丘カフェ「みよしさんち」を運営し、認知症高齢者に対する傾聴や対話活動、介護家族の相談事業及び地域啓発等に取り組む団体(2017年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、高齢者居住率が20%以上と高い東久留米市浅間町地域に、認知症高齢者が安心してくつろげる居場所として、松が丘カフェ「みよしさんち」を定期的に運営した。また一人では来ることのできない当事者には地域包括支援センターと連携しながら、民生委員や認知症サポーターが自宅とカフェを散歩しながら送迎することも試みた。活動を通して支援の輪が拡がり、家族会メンバーや大学生などもボランティアで参加している。
3年目は引き続き、カフェを定期的に運営しながら、地域内での認知度を高めていく。さらに各地域機関との連携を強化し、当事者と家族を見守る拠点としての展開を目指す。
神奈川県
ハナリマパイレーツ
性犯罪の被害者を対象に、「傾聴」と共に「もの創り」を通して辛い体験を対外に出し、そして「創る」ことで達成感を得て、自尊心を取り戻していくための居場所を提供している団体(2016年設立)。
2ヵ年のスタート助成を受け、定期的にハンドメイドを行う場を提供し、同じ空間を共有しながらピアサポートによる支援を行ってきた。ハンドメイドの作品は地域支援団体と連携し、地域イベントで展示販売を行うとともに、活動内容を啓発した。また電話や来所によるピアカウンセリングも実施したことで、継続的な支援へとつなげることが出来た。
3年目も引き続き、ハンドメイドの場の提供とピアカウンセリングを行いながら、当事者が社会復帰できるよう継続的支援の仕組みを強化していく。また性暴力当事者の被害体験や二次被害(支援者による言葉の被害など)についての勉強会を定期的に開催し、地域内の理解促進を図る。
群馬県
特定非営利活動法人 ぐんま若者応援ネット(アリスの広場)
不登校や引きこもりの若者が、家から一歩外に踏み出すためのフリースペース「アリスの広場」を開設・運営し、交流と相談事業を通じて、当事者とその親の支援に取り組む団体(2014年設立)。
3ヵ年のスタート助成を受けて「アリスの広場」を常設し、のべ80名ほどの若者が居場所として利用した。若者たちは、この場を通じて外に出ることや多様な人と関わる中で視野を広げるとともに、ピアサポートや就労体験により自信を取り戻し、復学や進学をしたり実際に再就職するケースも出てきた。また、アーティストやアートセンターの協力を得て美術活動も定着させた。
ステップアップ助成では、引き続き「アリスの広場」を運営しながら、精神科医やソーシャルワーカーの協力を得て、よりサポートが必要な若者の支援を充実させる。就労体験については、農園での受け入れも視野に入れ、若者の出来る範囲を見極めながら徐々に自信を付けられるようバックアップを行う。また、美術やアウトドアなどのアクティビティも継続的に実施する。
選考委員会では、専門家や地域の団体と連携しながら、着実に歩みを進めていることが評価された。今後は、共に事務局を担う仲間を得るなど組織体制を整えて、安定的な活動基盤が作られることに期待し、応援したい。
東京都
さきちゃんち運営委員会
子どもが多世代と交流し、地域の大人に見守られながら育つ場「さきちゃんち」の運営を行い、子育てサロン、子ども図書館、子どもによる遊び場づくりなどに取り組む団体(2015年設立)。
3ヵ年のスタート助成を受け、子どもの「やりたい」から生まれるプロジェクトを、子どもと一緒に考えて実現する「なにしよっかクラブ」を実施。活動日が増加し、子どもが自ら活動や企画を生み出せるようになり、参加人数も確実に増えてきた。また、「子どもたち自身での発信」に重点をおいたプログラミングやHP等での発信スキルをサポートすることで、他者に伝える経験から子どもたちの可能性を広げていった。
ステップアップ助成では、地域の中で応援者や協力者が増えてきたことを契機に、「まちに出掛けて見習い隊」として、まちの中に活動を展開していく。この取り組みでは、まちの仕事場への体験見学ツアーを行い、実際に仕事をする大人と出会うことで、子どもたちの興味や選択の幅が広がることを目指す。同時に、まちの大人たちにも「さきちゃんち」の取り組みや、参加している子どもたちについて知ってもらい相互に関わる機会を増やしていく。
選考委員会では、子どもたちの主体性を引き出す取り組みが着実に積み重ねられていることが評価された。今後は、活動場所の確保など、団体の基盤づくりも視野に入れながら、子どもも大人も参加する「さきちゃんち」のコンセプトが、より発展することに期待し、応援したい。
東京都
滞日ネパール人のための情報提供ネットワーク
日本で長く暮らすネパール人とネパール人支援に関わる日本人が、ともに教育や保健医療に関する情報の提供、および通訳者や研修講師の紹介といった支援に取り組む団体(2015年設立)。
3ヵ年のスタート助成を受け、「外国人をサポートするための生活マニュアル」のネパール語への翻訳や、保険や教育情報をテーマとしたセミナーを開催し、自治体や外国人支援のNPOとの協力関係を築くことができた。また、他国出身者との交流や、通訳研修を行ったことで、メンバー自身の学ぶ機会が増え成長につながった。
ステップアップ助成では、日本語学習の機会が少ない技能資格や家族滞在資格で来日した孤立しがちなネパール人に対し日本語教室を実施する。あわせて、滞在ネパール人の若者の需要に応え、日本における性に関する情報を提供する「ライフスキル研修」の実施や、ネパール人と日本人がともに通訳や翻訳を学び、共生について考える機会を提供する。また、高まる支援の需要に応えるために、事務局の体制を整え、業務の見直しや一部作業のマニュアル化を行い組織基盤の強化に努める。
選考委員会では、着実に実績が積み重ねられており、ネパール人以外のコミュニティとも連携している点が評価された。今後も、息の長い活動が続けられるよう、事務局機能を盤石なものとし、活動を展開されることを期待し、応援したい。
神奈川県
特定非営利活動法人 結の樹よってけし
人口減少や高齢化が進む神奈川県内で唯一の村・清川村において、地域住民が安心して生活できるコミュニティづくりと生きがいづくりを目的に食事提供・弁当宅配、交流促進事業などを行う団体(2014年設立)。
3ヵ年のスタート助成を受け、地域住民と協力して管理放棄・未収穫の果樹園等から柚子や梅、ブルーベリーなどを収穫しジャム加工・販売を実施した。また、積極的なイベント参加や農家とのコミュニケーションをはかり、協力農家の理解を得ることで借りられる畑が徐々に増え、近隣地域からも協力者を得るに至った。さらに、学生と一緒に地域づくりを考える活動も始まった。
ステップアップ助成では、取引先の増加にともない、加工場の拡充や交流の場の充実を図るための新しい拠点づくりと、さらなる資源の活用に取り組む。新しい拠点づくりでは、古民家を活用し、産学連携でアイディア出しのワークショップを重ねながら改修を行い、地域の人を巻き込んだ交流イベントを実施する。また、農産物や農地の活用については、商品の絞り込みを行うなど事業の質的な向上をはかる。
選考委員会では、農地の荒廃やコミュニティの希薄化といった地域の課題を長期的に見据え、多様な連携や参加を得て着実に活動を展開していることが評価された。今後は、これらの活動が地域に定着し、他の過疎地域のモデルとなることを期待し、応援したい。