茨城県
息栖の森 自然共生を図る会
茨城県神栖市の息栖の森(里山)地域において、土砂災害等の被害防止や自然環境の保全を図るとともに、地域住民が訪れ、三世代の交流の場になることを目指して環境整備に取り組む団体(2015年設立)。
3ヵ年のスタート助成を受けて、息栖の森が住民の憩いの場となるよう、不法廃棄物の回収や間伐を行いながら、親水水路につながる遊歩道を造成したことで、季節の草花を楽しめる散歩コースとなった。また遊歩道周辺に各広場を造成したことで、バーベキューや子ども会行事などを楽しむ姿が見られ、世代を超えた交流が生まれてきた。これまで地道に取り組んできた大規模な造成も目途がたち、2020年10月に「息栖の森ふるさと公園」として開園する予定である。
ステップアップ助成では、息栖の森ふるさと公園に隣接する市営の「清水堂の上公園」に訪れる人を呼び込むために連絡遊歩道を造成し、公園と連携を図りながら観光地として地域内外に発信していく。また開園を記念し、地域住民が作り上げた公園の軌跡や思いを冊子としてまとめ、発行する。
選考委員からはスタート助成3年間の取組みを通じて、人々が集える公園を住民の力で造成できるという実践例を構築できたことが評価された。息栖の森ふるさと公園が地域で愛され、多世代に利用される公園となるよう仕組みをつくり、そして次世代への継承と育成にも力を入れていくことを期待したい。
神奈川県
一般社団法人 OHANA
性犯罪の被害者を対象に、「傾聴」と共に「もの創り」を通して辛い体験を対外に出し、そして「創る」ことで達成感を得て、自尊心を取り戻していくための居場所を提供している団体(2016年設立)。
3ヵ年のスタート助成を受けて、当事者がものづくりをしながらピアの場とするハンドメイドピアサポートやピアカウンセリングの実施、また地域でのイベント出店により作成したハンドメイド作品を販売する活動を行ってきた。それにより、県内にとどまらない活動の周知とともに、参加した当事者からは前向きな言葉が聞かれるようになった。一方で当事者の現状として、被害後に何らかの精神疾患を発症し、経済的な困窮状態に陥っていることもみえてきた。
ステップアップ助成では、これまでのピアのサポートとイベントでの物販に加えて、県内NPO団体と連携しコミュニティカフェでの就労体験のしくみをつくることで当事者の経済的自立の足掛かりとする。また、定期的なカウンセリングや創作・販売活動が可能となるよう拠点の確保にも取り組む。
選考委員からは、県内において他団体や行政との連携が着実に図れていることや、今後の展開を見据え、拠点づくりといった基盤強化に取り組むことが評価された。今後は、一人でも多くの当事者が安心して生活できる地域となるよう、より一層の活動の定着と広がりに期待したい。