中央ろうきん助成プログラム

選考結果
2020年助成の選考について

選考委員長による選後評

選考委員長 黒河 悟

選考委員長

黒河 悟

労働者福祉中央協議会 前副会長

続けよう 個性が輝く“ひと・まち・くらし”づくりを地域から

「中央ろうきん助成プログラム」の最終年度は、3年間のスタート助成を受けた団体から4団体の応募によるステップアップ助成の選考が実施され、結果として2件の助成を決定することができました。

現在、新型コロナウイルス感染症の蔓延、そして緊急事態宣言下で日本社会や私たちの生活は大変な困難に直面していますが、今回の選考についても大きな影響を受けました。各選考委員の書面評価に続く選考委員会は開催できなくなり、その代替え措置として、各選考委員が応募団体への質問・確認事項を事務局に提出し、事務局から応募団体にヒヤリングを行い、その報告をもとに各選考委員が最終評価をするという方法で進めました。限られた条件の中で最終選考に至るために関係者の皆さんから多大な協力を賜りましたことに感謝申し上げます。

また、今回の選考も通常の社会状況を前提としたものとして行いました。新型コロナウイルス感染症の影響は長期に及ぶとも言われており、この先が読めないため応募の活動の実施や展開を見通せませんし、応募団体の活動テーマや場所、人間関係その他の条件もそれぞれ違いがあり、各団体がどのように影響を受け対応を図っていくのか不透明なのが現実です。選考委員としては、あくまで通常の募集要項やこれまでの活動、そしてステップアップ助成の主旨に沿っての判断・評価であることをお伝えしたいと思います。

今回の応募は4団体と限られていましたが、地域、テーマ(課題)、対象、にもそれぞれ個性があり、また3年間のスタート助成を各応募団体とも上手く活用してきたことが伺えます。その意味で、選考基準における、①地域貢献性、②成長性、③継続性、などについては、幅の違いはありますがそれぞれプラスに評価することができます。評価が大きく分かれるのは、①参加性、②独創性、③発展性、④実現性の項目かと思います。昨年12月のフォローアップミーティングで「スタート助成3年目は活動を進めるに当たって丁度迷いが生じる時だ。是非、そこを突破するためにもステップアップ助成に挑戦して欲しい。」と申し上げましたが、まさにひとつステップアップするために、上記の4項目のいずれかで選考委員に評価されるところがあったか否かが、採否の分かれ目となったと思われます。ただ、各項目は「独創性=新しいことに挑戦するもの」と「発展性=波及効果の期待につながるもの」のように、活動の中では連動して評価が定まるものもありますし、参加性のように時間軸で評価されるため長い目で発展性の評価に大きな影響を及ぼすものもあります。ステップアップ助成が、活動4年目への助成であるのは勿論のこと、その先の活動の風景を選考委員が頭に描くことができたかどうかが評価の大きなポイントであったかと思います。

事実、各選考委員の皆さんからの書面評価・最終評価のコメントでも、団体を支えるメンバーの広がりや活動基盤の充実について、あるいは活動へのマネージメントや計画性への評価、ステップアップ助成の次の方向性や戦略が読み取れるかどうかということに多く触れられていましたし、活動地域での定着や展開の見通し、助成活動の発展モデルとしての取組みへの期待などに関心が寄せられていたと言えると思います。

最後に、2002年に<中央ろうきん>営業エリア1都7県の地域の市民活動を支えようと開始されたこのプログラムには、この間多くの団体が応募され、その選考に私たち選考委員は関わらせていただき、様々な活動を展開する団体や市民の皆さんと出会うことができました。これは選考に携わった私たちにとっても大きな宝でした。

助成プログラムが掲げた「個性が輝く“ひと・まち・くらし”づくり」の実現に向かって、これからも皆さんが様々な地域課題に挑戦して行かれますことを心より期待しています。