中央ろうきん助成プログラム

選考結果
スタート助成・3年目/ステップアップ助成対象団体の概要

スタート助成・3年目

人との絆を深める音楽療法プロジェクト 元気に暮らそう

茨城県

特定非営利活動法人リズムロード水戸

子育て支援、障がい児・者支援、介護予防、認知症予防、心身障がい予防、虐待予防、QOLの維持改善に努め、明るい生活と福祉の増進を目的に、市民に対して音楽療法の普及や音楽活動の提供に関する事業を行う団体(2010年設立)。2ヵ年のスタート助成を受け、「子育て支援音楽療法」の定期開催、小学校高学年と保護者を対象とした「音とリズムによる心の健康教室」に加え、福島県から避難された親子に対する音楽活動を行った。3年目は、多岐にわたる音楽療法の対象者に対応するために使用する楽譜や用具の充実をはかる。また、メンバーの募集や育成を行うことで当事者に寄り添った支援体制を構築し、さらなる活動の展開を目指す。

自閉症支援者を支援する~支え合いの場づくり~ ステップアップに向けた活動基盤整備 3年目

栃木県

あるべき支援を考える会

自閉症支援者が、職場や職種を超えて各々の現場で抱えている課題を共有し、元気に前向きに支援に取り組めるよう支え合う仕組みづくりを目的とした団体(2007年設立)。2ヵ年のスタート助成を受け、資金面での自立に重点を置いた活動基盤の整備を行うとともに、自閉症セミナーや定期勉強会を実施した。3年目は、自閉症セミナーの開催に加えて、定期勉強会や自閉症支援者のためのカフェミーティング「ほっとひといきカフェ(仮称)」を実施する。自閉症支援者が自ら語る「支援のちょっといい話」によって、仕事の素晴らしさ、面白さなどを仲間と共有し、自閉症支援者が、プロとしての誇りを持ち仕事に取組めるような足掛かりとなる仕組みづくりを目指す。

男性介護者支援プロジェクトⅢ 市民発 虐待ゼロキャラバン

東京都

特定非営利活動法人杉並介護者応援団

介護者・要介護者にとっての地域のたまり場(介護者の会)づくりとその継続的なサポート活動を軸に、行政、専門機関、専門職およびボランティア等との連携をはかり、介護者支援のネットワーク作りを行う団体(2006年設立)。2 ヵ年のスタート助成を受け、男性介護者のための「晩めし屋」、「男性介護者の会」および「土曜介護者の集い」の立ち上げと運営を行った。また、介護者が学習する機会や、介護体験の発表の機会を設けるとともに、支援者のスキルアップ研修にも努めた。3年目は、市民発の草の根PR活動として「虐待ゼロキャラバン隊」を立ち上げ、介護者の現状を反映した劇の出前上演を行う。「男性介護者の会」の様子の再現や、認知症者に対する不適切な対応事例の模擬演技などの寸劇を上演することによって、深刻な高齢者虐待の予防と防止、介護者の孤立感の軽減、介護者の会や社会資源につなぐための広報活動を展開する。

医療的ケアの必要な重症心身障害児を含む肢体不自由児の放課後活動

東京都

特定非営利活動法人ひまわりProject Team

重症心身障がい児者の自立を目的とし、重症心身障がい児者が地域社会との接点を持ち、様々な豊かな体験ができる居場所作りのため、「肢体不自由児の放課後活動」の展開、および「工房通所施設」の設立に取り組む団体(2010年設立)。2ヵ年のスタート助成を受け、放課後活動や音楽療法、カラーアートセラピーなど多様な活動を展開するとともに、支援活動に携わる実習生の育成を行った。3年目は、温水プールでのリラクゼーションや音楽を聴きながらアロマの香りを楽しむなど複数の感覚刺激を取り入れた活動と作業療法の講師の協力を得て物作りの活動を行う。また、在宅の重症心身障がい児者が活動に参加できるように実施体制を整備し、引き続き実習生や学生ボランティアの受け入れを行うことで支援者の人材育成を目指す。

障害者の在宅就労促進と情報のバリアフリー化を目指す活動

山梨県

特定非営利活動法人バーチャル工房やまなし

重度障がい者が自宅に居ながらも、ICT技術を利活用することで社会との繋がりを持ち、仕事を得て働くことにより、社会的・経済的・精神的にも自立する支援と、そのためのICT技術の向上、利活用の支援を行う団体(2009年設立)。2 ヵ年のスタート助成を受け、障がい者の在宅就労についてのセミナー、ICTの技術講習会の開催、山梨県下のイベントへの参加による広報活動を行うとともに、他団体とのネットワークづくりに努めた。また、紙面の情報を音声として読み取る「音声(SP)コード」の普及活動を展開した。3年目は、引き続き、障がい者の在宅就労についての理解を促進するためにチラシの作成、ホームページやソーシャルメディアの活用による広報活動を行うとともに、ICT技術を利活用した在宅就労の促進と、ICT技術のスキルアップを目指した支援活動に取組む。

ステップアップ助成

虐待を受けた女性と子どもの心の回復のための表現活動

栃木県

認定特定非営利活動法人サバイバルネット・ライフ

女性と子どもの人権を守るという視点に立ち、DV被害女性と子ども達の自立援助と地域で安全に生きるための支援活動に取組む団体(2006年設立)。活動内容は相談事業・カウンセリング、シェルターとステップハウスの運営、病院や警察などへの同行支援、就労支援、法的支援、生活用品の提供など多岐にわたる。2011年~2012年のスタート助成を受け、3年目でステップアップ助成にチャレンジ。

2 ヵ年の助成を受け、DVや虐待についてのシンポジウム・講演会等の開催やDV防止啓発冊子の作成に取組み、その成果として行政や関係機関との協働や連携が深まり、相談件数の増加につながった。

ステップアップ助成では、被害者の心のケアとして表現活動を実施し、自尊感情や自己肯定感を高めることで心身の回復を図り、地域で健康に生活できるよう支援する。またボランティアを養成するために研修を充実させ、活動を安定して継続できるような人材の育成と確保に取組む。選考委員会では、行政からの支援が届きにくい当事者のニーズに対して、きめ細やかに対応しながらも先駆的に活動を展開している点が評価された。協力者や支援者のネットワークを拡げながら相乗効果による支援力を高め、DVや虐待被害者の支援団体として、地域に根差した活動に取組まれることを期待し応援したい。

引きこもり、不登校、精神障害者の当事者及び当該家族のためのメンタルヘルスケア事業

栃木県

特定非営利活動法人KHJとちぎベリー会

引きこもり、不登校、精神障がい者が抱える問題の理解と支援を促進させることを目指し、当事者及び家族のためのメンタルヘルスケア事業、啓発普及活動、相談・情報提供活動、当事者居場所事業等に取組む団体(2002年設立)。

3 ヵ年のスタート助成を受け、若者の自己肯定感を育む居場所を定期的に開催したことで、参加した若者が他者への思いやりを持つようになり、小さなことからでもチャレンジする気持ちを育むことができた。さらにアルバイトに従事する若者が育つなどの成果も出ている。また父親向けの学習会(親父の会)では、若者に強い影響を与える父親が参加することで少しずつ父親の気持ちに変化が生じ、家庭内で良い影響をもたらすようになった。

ステップアップ助成では、居場所と親父の会を引き続き定期開催することに加え、2012年より検討を進めていた緩やかな就労体験の場として、貸し店舗で軽食や野菜、当事者の手作り品等の販売に取組み、就労支援施設につなげる前段階としての役割を担うことを目指す。選考委員会では、若者一人ひとりの成長に寄り添いながら活動に取組み、これまでの支援を就労につなげる事業展開が評価された。

活動基盤を安定させるためにも運営の担い手育成と資金調達に努め、団体の将来ビジョンを確認しながら、次の展開に大きく飛躍されることを期待し応援したい。

シェルター内外のハード面・ソフト面の充実

群馬県

特定非営利活動法人ひこばえ

社会的格差に悩む女性や子ども達が自分の尊厳を保ち、安心して暮らせるような社会になることを目的に、DV被害者への面接、電話相談、グループ援助等の身体的及び精神的な支援や、一般向けの講演会や研修会を通してDV防止の啓発に取組む団体(2009年設立)。

3ヵ年のスタート助成を受け、一般向けのDV・デートDV防止連続講座や高校生・大学生向けのデートDV防止ワークショップを開催し、広く啓発活動に取組んだ。また「女性のしゃべり場(自助グループ)に関わる被害者専門サポーターのスキル習得や相談者向けの研修会なども実施し、専門的な人材育成に対しても積極的に取組んだ。また、これまで準備してきた民間シェルターを2012年11月に開所した。

ステップアップ助成では、被害女性が自分自身を取り戻し、安心して過ごすことができる環境を整えるために、生活に必要なシェルター内の備品を揃える。またシェルター事業が着実に展開できるよう有給で常駐スタッフを配置し、さらに群馬県では初の試みとなる、DV被害者に付き添ってその立場を代弁し、擁護できる専門性の高い相談員を養成するためのアドボケーター研修を実施する。選考委員会では、地域での支援が遅れていることを問題意識とし、地道に啓発活動に取組み、シェルター開所を成し遂げた実行力が評価された。地域におけるDV支援の拠点として確固たる基盤を築き、様々な分野とのネットワークを拡げながら活動を展開されることを期待し応援したい。

一般企業の中に重度重複障害者が働ける環境作り整備

埼玉県

特定非営利活動法人コットンドリーム

知的・身体共に重度の障がいを持った重複障がい者とその家族が、日中活動の場(仕事)と生活の場(グループホーム)を確保することで、生活に広がりを持ち、自立しながら安定した生活を送れることを目的に活動に取組む団体(2007年設立)。2011年~ 2012年のスタート助成を受け、3年目でステップアップ助成にチャレンジ。

2 ヵ年の助成を受け、重度重複障がい者が働く場の環境整備を整えるために、作業場のトイレ及び入口のバリアフリー改修等を行い、また全ての障がい者が作業に携わることのできる『畳み機』を導入し、仕事に対する充実感につなげることが出来た。また活動の拡がりから、知的障がい者の受入れに対する要望が高まり、その受入れ体制を整えるためにスタッフの意識改革やスキルアップ研修にも取組んできた。

ステップアップ助成では、現在の作業場の移転に伴い、従来の作業場と新しい作業場の2 ヶ所での運営にチャレンジし、新たな障がい者の受入れ指導や両作業所の調整等に取組む。選考委員会では、一般企業の中で働く環境をハード面・ソフト面ともに整備し、重度重複障がい者と社会との接点を築いている点が評価された。今後グループホームの設立も目指していることから、重度重複障がい者が仕事と生活面の両方で自立を促すことができるよう、長期的な視野をもって取組まれることを期待し応援したい。

「ママのための保健室」開設による活動再構築事業~ワンストップの子育て支援をめざして~

神奈川県

特定非営利活動法人ひだまりの森

育児や人間関係などに悩みを抱えていたり、育児に息苦しさを感じていたりする子育て期の親への支援は、子どもが健全に育つことに繋がるという視点のもと、子育て期の相談、親子が安心して出会える場の提供、子育て関連講座の開催等に取組む団体(2005年設立)。

3ヵ年のスタート助成を受け、子育て支援者向けのファシリテーション研修や、活動への理解を深めるための子育て期の相談事例集作成に取組んだ。この事例集を他の子育て支援機関との連携促進のツールとして活用するだけではなく、親が手に取りやすいリーフレット版も作成し、相談への抵抗感を軽減させることを期待して地域での配布を試みた。その結果、電話相談件数の増加につながり、支援団体としての認知が広まった。

ステップアップ助成では、対面相談のニーズの高まりを受け、「ママのための保健室」を開設し、相談・居場所・学びの場としての機能を備える。またこれまで分散した場所で実施してきた事業を1箇所に集約することで業務の効率化を図り、ワンストップの支援と対応に取組む。選考委員会では、行政では対応の行き届かないニーズをキャッチし、着実にその支援に取組んでいく事業展開が評価された。今後も他機関との連携を深めながら、利用者や地域とともに成長する組織体制を構築されることを期待し応援したい。