中央ろうきん若者応援ファンド

インタビューコラム
いま、なぜ若者応援が必要なのか?第7回

第7回(最終回)

社会の格差是正は、若者の雇用とくらしの底支えから

日本労働組合総連合会(連合)会長 古賀 伸明さん

こが・のぶあき
1952年、福岡県生まれ。96年、松下電器産業労働組合中央執行委員長、02年、電機連合中央執行委員長、05年、連合事務局長を経て、09年より現職。

連合は1989年に結成された、産業別労働組合など52の構成組織からなる「働く人の雇用と暮らしを守る組織」で、47都道府県に地方組織と労働相談窓口があります。

今、全国を回って非正規雇用の組合員や、若手の組合リーダーと対話を重ねていますが、やはり深刻なのは非正規雇用の問題。若者の4割が人生最初の仕事から非正規を選ばざるを得ない中、「処遇が改善されない」「正社員と同じ仕事でも格差がある」「雇用が不安定」などの声が寄せられています。労働組合も、パートや有期雇用の仲間の賃上げ、教育訓練の充実、無期雇用化といった取り組みを進めてきていますが、もっと運動を広げなければなりません。

日本は、能力開発や職業訓練にかける予算が世界の主要国の中でも最低レベル。働く人のスキルアップを企業任せにせず社会全体で支えるようにしないと、将来不安と格差は広がるばかりです。

私たちの相談窓口には年間2万件弱の相談が寄せられますが、気になるのは、働く上で必要な法律などのルールを知らない若者が多いこと。そこで、若い人にも働くルールや労働組合の役割を知ってもらおうと、10を超える大学で講座を開いています。

今の日本で広がる格差に歯止めをかけるには、雇用保険や社会保険に入れる機会の拡大や「求職者支援制度」の改善など、働くことと暮らしを支えるセーフティネットの充実が不可欠です。

中央ろうきんが次世代を担う若者の支援に取り組み、支え合いや助け合いの精神が地域社会に根づいていくことを期待しています。

「ビッグイシュー日本版」第247号(2014年11月15日発売)より転載