おひとりさまの
マネープランは、
「守り」の視点も大切!

以前は、女性の人生といえば、結婚して、子どもを産み、家庭をしっかり守る専業主婦になるのが定番のコースでした。でも、今の時代は、「1人の時間が楽しいし、無理に結婚しなくてもいい」「結婚はしたいけど、子どもはいらない」など、女性の生き方は多様化してきています。そして最近、特に増えているのが「おひとりさま」。最初からシングル主義、結婚しないつもりはなかったのに気がつけばシングルなど、おひとりさまでいる理由は様々ですが、おひとりさまで暮らすためには、そのための「マインド」と「知識」を身につけておく必要があります。特にお金の知識は重要。今のうちからお金の知識をしっかりと身につけて、最後まで自分らしく楽しく暮らせるようにしていきましょう。

さて、自分の理想とする人生に必要なお金を準備するためには、お金を「貯める」「増やす」視点をもつことが大切です。また、おひとりさまの場合、「病気・ケガ」になってしまった時、「収入が減少してしまった時」など想定外のことが起こったときのために、もしもに備えるという「守りの視点」も大切です。

家を購入する?賃貸でいく?

おひとりさまの住まいを考えた場合、実家暮らし、マンション購入、賃貸(一人暮らし、友人とシェアなど)など、様々な選択肢があります。

家の購入と賃貸については、昔からよく議論されるところですが、実際のところ、①これから先、何年生きるかがわからない②将来の住宅価格がどう動くかがわからない③マイホームに対しての価値観が人によって異なるのでどちらがお得なのかは、一概にはいえません。

[ 賃貸の場合 ]

  • メリット

    • ライフスタイルや家族構成に応じて、住むエリアや間取りを臨機応変に変えたり、古くなったら新しい物件に住み替えが可能
    • 初期費用は、礼金、敷金など数十万円程度に抑えられる
  • デメリット

    • 家賃を払い続けていても自分のものにできない
    • 自分の好きなように間取りを変えることができない
    • 一生家賃を払っていかなくてはいけない

[ 購入の場合 ]

  • メリット

    • 自分の資産になる
    • ローンを払い終われば住居費用がかからない
  • デメリット

    • 時間の経過にともなってリフォーム費用がかかる
    • 固定資産税などの税金がかかる
    • 購入時に頭金、初期費用などで数百万円のまとまった金額が必要

どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分にとって何が大切か優先順位をつけて考えましょう。その際、「現役時代」「定年後」「介護が必要になったら」と人生を3タームに分けてみると、考えやすいでしょう。

長生きに備えて、
老後・介護費用も準備!

老後にかかる資金

日本人男性の平均寿命81.25歳65歳で定年退職を迎えると老後生活が16年続く日本人女性の平均寿命87.32歳65歳で定年退職を迎えると老後生活が22年続く現在すでにリタイア生活を送っている人の平均的な生活費シングルの場合15.2万円もらえる公的年金の平均額などと相殺すると毎月約2.7万円の“赤字”出典:総務省家計調査報告(2019年)を基に独自に作成 日本人男性の平均寿命81.25歳65歳で定年退職を迎えると老後生活が16年続く日本人女性の平均寿命87.32歳65歳で定年退職を迎えると老後生活が22年続く現在すでにリタイア生活を送っている人の平均的な生活費シングルの場合15.2万円もらえる公的年金の平均額などと相殺すると毎月約2.7万円の“赤字”出典:総務省家計調査報告(2019年)を基に独自に作成

現在の高齢無職世帯でも既に赤字の状況になっています。今後もますます少子高齢化が加速することを考えると、私たちが年金を受給するときにはもっと厳しい現実が待っている可能性大!加えて、歳をとれば誰しも体に不調をきたしますし、いずれは、介護が必要になるかもしれません。今や85歳以上の高齢者の約6割が要支援、要介護状態。2人に1人以上は介護が必要です。

老後に介護にと話が続くと、少しげんなりしてくると思いますが、まだ40代ですから、老後を迎えるまでに20年以上時間があります。今からコツコツと必要なお金を貯める習慣を身につけることと同時に、できるだけ長く働けるスキルを今から身につけておけば、必要以上に不安になる必要はありません!

ただし、超低金利時代の今、預貯金にお金を預けているだけではなかなかお金は増えません。ぜひ、「投資」という選択も考えてみましょう。

つみたてNISA、
iDeCoで自分年金作りを!

一般の人が始めやすい投資商品といえば、「投資信託」。そして、投資信託を始めるならオススメなのが「つみたてNISA」です。

つみたてNISAを
おススメする理由

  • 対象商品が金融庁の厳しい基準をクリアしたものに限定されているので投資先が選びやすい

  • つみたてNISAで投資した投資信託から得られた利益は非課税

つみたてNISAは、初心者が始めやすく、40代女性の利用者もどんどん増えています。ただ、節税という観点からすると、「iDeCo」に軍配が上がります。

節税しながら自分年金を
作るにはiDeCoがお得

iDeCoとは私的年金の一種で、正式名称は個人型確定拠出年金といいます。特徴は、加入者自身が運用商品を選択し、その運用成績次第で将来の受取額が変わるところです。60歳以降に受け取ることができ、将来の年金の受取額は自分が選んだ商品の運用成果にかかっています。

iDeCoの大きなメリット
3つの場面で税制優遇

  • 1掛金が全額所得控除

  • 2運用益は非課税

  • 3受取時にも税制優遇

中でも掛け金の全額を「所得控除」できるのは大きなメリットです。
掛け金の上限金額は、自営業者、会社員、公務員など、属性により異なりますが、いずれも5,000円からスタートすることができます。

また、iDeCoの運用商品は、定期預金、保険、投資信託から選ぶことができますが、運用益の非課税のメリットも活かすには、投資信託を選ぶことをおススメします。

女性は、長生きの傾向にあり、老後の生活は長く続きます。老後も充実したおひとりさま生活を送るためにも、ご紹介したような税制メリットのある制度を活用しながら、着実に将来に備えていきたいですね。

プロフィール

高山 一恵

(株)Money&You取締役/
ファイナンシャルプランナー

高山 一恵 (たかやま・かずえ)

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー1級
慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株) エフピーウーマンを設立し、10年間取締役を務めた後、2015年より現職へ。女性向けサービス、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Cafe』の事業に注力。全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。