あなたの暮らしに合う保険とは? ライフスタイルで変わる保険の役割
家族のあり方や働き方が多様化する今、「自分に合った保険」の基準は、人によって異なります。独身、共働き、子育て世帯、会社員、自営業など、立場によって必要な保障もさまざま。今回は、保険の基本的な仕組みを押さえながら、家族構成や働き方別の保険との付き合い方、そして家族で考えたい新しい安心のかたちを紹介します。
約9割が加入──それでも“必要な保障”は人それぞれ
日本では、民間の保険や共済への加入が一般的になっており、約9割の世帯が何らかの生命保険に加入しています。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2024年度)によると、世帯加入率は89.2%。さらに、1世帯あたりの平均加入件数は3.8件と、複数の保険を組み合わせて備える家庭が多いことが分かります。
また、平均年間払い込み保険料は35.3万円(同調査・2024年度)と、家計に占める割合も高く、家計相談でも見直しの相談が絶えない支出の一つとなっています。
若い世代では医療保険やがん保険のニーズが高く、年代が上がるにつれて老後や介護への備えを重視する傾向があります。しかし、必要な保障は年齢だけで決まるものではありません。備えたいリスクや働き方、家族構成などによって必要な保障は大きく変わります。だからこそ、自分の目的に合った保険を選ぶことが大切です。
“万が一”から“老後”まで 目的別に選ぶ4つの保険
生命保険にはさまざまな種類がありますが、ここでは目的別に代表的な4つの種類を確認してみましょう。
① 死亡保険
死亡保険は、家計を支える人が亡くなったときに、残された家族の生活を守るための保険です。10年や20年など一定期間のみ保障される定期保険、一生涯保障が続き貯蓄性もある終身保険、保険金を分割で受け取る収入保障保険などが代表的です。
② 生存保険
死亡した場合ではなく、保険契約期間の満期時点で生存している場合に保険金を受け取るタイプの保険です。例えば、子どもの教育費の準備に利用される学資保険や、老後の資金づくりのための個人年金保険など、貯蓄性がある保険がこれに該当します。
③ 生死混合保険
満期時点で生存している場合にも、保険期間中に死亡した場合にも保険金が支払われる保険です。満期まで生存していれば満期保険金が支払われ、保険期間中の万が一の際には死亡保険金が支払われます。貯蓄と保障の両方の役割を兼ねた保険です。
④ その他の保険
死亡や貯蓄以外に備える保険も多様化しています。入院や手術、通院などの医療費を補う医療保険、治療が長引きがちな3大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に備える保険、さらにがん治療の選択肢の広がりに合わせて費用や収入減に備える保険などがあります。
保険の種類を分類してみると、自分がどのような保険に加入しているのか、またどの保険を検討すべきなのかが整理しやすくなります。
どう組み合わせる? 保険の3層構造
人生にはさまざまなリスクがありますが、その備えのために、最初から民間保険に加入する必要はありません。まずは、どの順番で保障を重ねていくかを整理することが大切です。
●公的保険
まず確認したいのが、誰もが加入している公的保険です。日本は国民皆保険・国民皆年金であり、原則として、国や自治体が運営する公的保険(社会保険)に全国民が加入し、保険料を負担する義務があります。例えば、病気やケガをしたときの治療費などが軽減される公的医療保険(健康保険)や、老後に国から年金が受け取れる公的年金保険などがあります。公的保険は土台となるため、まずどこまでカバーされるのかを正しく知ることが第一歩となります。
●団体信用生命保険(団信)
住宅ローンや教育ローンを利用している場合、すでに団体信用生命保険(団信)に加入しているケースもあります。団信は、ローン契約者が死亡または高度障害状態となったときに返済が免除されるしくみで、結果として家族の生活を守る保険の役割を果たします。そのため、団信も“すでに備わっている保障”として確認しておきたいポイントです。
●民間保険
公的保険や団信だけではカバーしきれない「治療費」「教育費」「介護費」などがある場合、その部分を民間保険で補います。まずは「何をどこまで公的保険等でカバーできるか」を把握し、不足分を民間保険で補うという順番で考えることが大切です。
ただし、公的なものであっても働き方や加入状況によって保障の手厚さは変わるため、自分がどの保障をどの程度持っているのかを一度整理してみましょう。そのうえで、公的保険・団信・民間保険をバランスよく組み合わせることで、どれか一つに依存せず、家計全体で無理のない安心を備えることにつながります。
“わが家はどれ?” 家族構成や働き方で変わる必要な保障
必要な保障は、家族構成や働き方などによって異なります。ここでは、代表的なケースごとにそれぞれの特徴を整理してみましょう。
【独身】
万が一のとき、経済的に支える必要のある家族がいない場合、生命保険は最小限で十分です。むしろ、将来のライフイベントに備えて貯蓄の習慣をつけることを優先しましょう。ただし、病気やケガで働けなくなった場合の生活費は自分で賄う必要があります。貯蓄がまだ十分ではない場合はシンプルな医療保険を1つ備えておくと安心です。
【既婚・子なし】
共働きであれば独身と同様に大きな死亡保障は不要なケースが多くなります。ただし、貯蓄がまだ十分ではない期間に万が一のことがあった場合、配偶者が生活を立て直すまでの少額の死亡保障があると安心です。また、どちらかが病気やケガで入院したときに備え、医療保険への加入や、内容の見直しを検討しましょう。
【既婚・子あり】
家族が増えると、住居費や教育費など必要な資金も多くなります。病気やケガによる収入減少への備えは特に重要です。公的な遺族年金はありますが、支給額には男女差があるため、夫婦それぞれが自分に必要な保障を確認しておきましょう。住宅ローンの団信への加入や、子どもの成長に合わせて、必要な保障額を定期的に見直すことも大切です。
働き方によっても、必要な備えは変わります。働き方別に見ていきましょう。
【会社員】
会社員は厚生年金や健康保険が適用されるため、自営業に比べて公的保障が比較的手厚くなっています。また勤務先によっては福利厚生制度が充実していたり、割安な保険料で団体保険に加入できたりしますので、民間の保険と内容が重複していないか確認しましょう。また、会社で加入している保険は退職後には継続できないケースもあります。保険は健康状態などによっては加入できなくなる可能性があるため、老後も必要だと思う保険については保険期間や加入のタイミングなどを事前に考えておくことが大切です。
【自営業】
自営業の場合は、公的年金保険や公的医療保険などの保障が会社員に比べて手薄になりがちです。日々のリスクへの備えだけではなく、老後資金の不足も課題になりやすいので、不足する部分を民間保険などで補完することが重要です。収入の変動も大きいため、自分に必要な保障を定期的に見直すことも欠かせません。
安心のはずが家計負担や払い損に? 定期的な見直しで最適な保険プランを見つけよう
日々のリスクに備える保険は大切ですが、家計の中では毎月の「固定費」として負担になります。保障を必要以上に手厚くすると保険料が上がり、家計を圧迫して生活費が足りなくなったり、必要な貯蓄を妨げたりしてしまうこともあります。
一方で、保険料を節約するために安易に保障を減らすと、いざというときの医療費や教育費が不足するリスクが生まれます。
本来、保険は「保険料」ではなく「保障の額」から考える必要がありますが、まずは入りすぎになっていないか確かめるために、保険料が「手取り収入の5〜7%」程度に収まっているかを確認してみましょう。
また、必要な保障額は家族構成や年齢、収入の変化によって変わります。特に結婚、出産、住宅購入、転職などは保険を見直すのに適したタイミングです。
さらに、自分自身のライフスタイルや働き方は変わらなくても、公的保険の制度や民間保険の商品内容は変わることもあります。近年では、3大疾病だけではなく、さらに幅広い病気に備えられる多疾病型の保険商品も増えています。加入時期が古い保険は、現在の自分に必要なリスクに合わなくなっていることもあります。保険を見直すことで保険料を節約しつつ、より幅広い保障に切り替えられるかもしれません。定期的に見直しを行うことで、自分に合った保険を選び続けることができるのです。
“必要な保障”を選び、“安心できる支出”に
保険は“入って終わり”ではなく、“暮らしに合わせて見直す”ことが大切です。自分の働き方や家族構成の変化に合わせて保障内容を定期的に見直すことで、必要な保障が明確になります。そうすることで、保険料への納得感も高まり、家計にも心にもゆとりが生まれます。公的制度・民間保険・金融機関の商品・サービスを上手に組み合わせながら、家族で安心を共有しましょう。
※このコラムは、2025年12月現在の情報を元に作成しています。





