ノートで学ぶマネーの知識
「天引き」がポイント! 給与明細を“読む”
「マネー」に関するインスタグラムへの投稿で、20~30代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさん。“テスト前に友人から借りるノートの感覚で”見てもらえるようインスタグラムへの投稿は「手書き」で、身近な話題を取り上げながら、20~30代の女性に知ってほしい「お金の話」について解説しています。「将来に備えるためにも給与明細の確認を!」と話すfumicoさんに、給与明細の見方をうかがいました。
「天引き」がポイント! 給与明細を“読む”
毎月の給与明細は、必ず見るようにしてください。
たとえば会社が事務処理を誤り、残業代が実際より少なくなっているなどの可能性もあります。
その意味では前月の明細も重要!
明細の内容が変わっていないとしても、変化がないことを見ることが大事です。ノートで詳しく説明しますが、特に意識してほしいのが、納める住民税が“新年度”になる6月、多くの会社で標準報酬月額が“新年度”になる10月。そして所得税が精算される年末です。所得税の精算手続き(年末調整)で税金が返ってくる場合、給与明細上は、マイナスで記されます。
ボーナスから「住民税」は引かれません
コロナ禍で支給額が減る場合もあるかもしれませんが、12月から1月にかけて冬賞与(ボーナス)が支給される方も多いでしょう。
賞与において、ノートで説明した毎月の給与の標準報酬月額にあたるのが、標準賞与額です。賞与の支給が年に3回以下であれば支給額の1,000円未満を切り捨てた額。その標準賞与額に対して厚生年金保険料であれば18.3%×1/2、健康保険料であればご加入の健康保険組合や協会けんぽの料率を掛けたもの×1/2が引かれます。
住民税は、1年間で納付すべき税額を単純に12で割ります。そこにボーナスは入らないので、引かれません。所得税については厳密に言えば様々あるのですが、毎月の所得税と同じように概算で引かれて、年末に調整するイメージを持てば問題ありません。
「天引き」でも高めたい“税金”や“社会保険料”への意識
そもそも給与から、税金が「天引き」される源泉徴収というシステムは戦時下の1940年、効率よく戦費を調達するためにナチス・ドイツにならって取り入れられ、現在も続いています。
効率的に毎月、徴税・徴収できるという行政側のメリットの側面が強いんですね。そして自動的に取られるから、額が増減しても気づきにくいんです。
それは源泉徴収という制度によるところが大きいわけですが、みなさんには「税」や「社会保険料」に対する意識は高くもっていてほしい。この点は強調しておきたいですね。
将来に備えるためにも給与明細を見て!
将来、厚生年金の保険料が上がったり、現在40歳以上の人が支払う介護保険料の納付する年齢が引き下げられたりする可能性があります。そうした場合に耐えられるかを考えるためにも、給与明細を意識する必要があります。
また、前年度の同月の明細と比べると、給料の増減や、それに伴う税金や社会保険料の負担の変化が分かるようになります。
毎月何となく受け取っているお給料ですが、どの程度税金を納めているか、どれくらい貯蓄に回せているかを意識することで、次のステップの“お金をどう増やしていくか”にも目を向けられるようになりますよ。
- ※この記事は朝日新聞社が運営しているウェブメディア「telling,」の掲載記事を再編集しました。