「子ども・子育て支援金」って? 知っておきたい新しい負担と子育て支援
少子化の進行に歯止めをかけるため、2026年度から導入された「子ども・子育て支援金制度」。社会全体で子育て世帯を支える仕組みですが、SNSなどでは「独身税」ともいわれ、議論を呼びました。
今回は、制度の概要や目的、家計への影響、そして集められた支援金がどのように使われるのかなどについてわかりやすく解説します。
「子ども・子育て支援金」とは?
「子ども・子育て支援金制度」は、国の少子化対策の財源の一部を確保するために創設された、社会全体で子育て世帯を支援する新しい仕組みです。
その背景には、政府が2023年12月に策定した「こども未来戦略加速化プラン」があります。このプランでは、子ども・子育て支援を総額3.6兆円規模で拡充することとしており、その財源の一部をこの支援金によってまかないます。
支援金制度による拠出額は、2026年度の約6,000億円から、2027年度は約8,000億円、2028年度には約1兆円へと段階的に拡大される見込みです。
大きな特徴は、税金としてではなく、公的医療保険の保険料に上乗せする形で徴収される点です。加入している公的医療保険を通じて納める仕組みになっており、主な区分は次のとおりです。
●会社員・公務員:勤務先の健康保険(被用者保険)
●自営業・フリーランス:国民健康保険
●75歳以上の方:後期高齢者医療制度
日本では原則としてすべての人が公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」を採用しているため、ほぼすべての人がいずれかの保険を通じてこの支援金を負担することになります。なお、実際の負担額は加入している公的医療保険や所得水準、世帯状況などによって異なります。
自分の負担はいくら? 会社員の負担額
では、会社員や公務員を例に、「子ども・子育て支援金」の徴収方法と負担額を見ていきましょう。
支援金は健康保険料とあわせて徴収され、毎月の給与と賞与(ボーナス)から天引きされます。2026年4月分の保険料から対象となり、一般的には2026年5月支給の給与から天引きされています。
健康保険組合や協会けんぽなどに加入している場合、月額の支援金額は「標準報酬月額×0.23%」で計算されます。会社員は労使折半(会社と半分ずつ負担)のため、実際の負担額はその半分です。たとえば、標準報酬月額が30万円の場合、自己負担額は月345円(30万円×0.23%×1/2)となります。賞与についても、標準賞与額に0.23%を掛けて計算されます。
なお標準報酬月額とは、社会保険料を算出する基準となる給与のことで、毎年4月から6月に受け取った給与に、各種手当(役職手当・家族手当・住宅手当・通勤手当など)を含めた「報酬」の平均額を、一定の幅で区分したものをいいます。たとえば、4月から6月の「報酬」の平均額が29万円の場合、下表の報酬月額では「290,000円以上~310,000円未満」に該当し、標準報酬月額は30万円となります。
給与明細では、控除項目を確認してみましょう。会社によって、「子ども・子育て支援金」として別項目で記載される場合もあれば、「健康保険料」に含めて表示される場合もあります。なお産休・育休中は、所定の要件を満たせば健康保険料や厚生年金保険料と同様に「子ども・子育て支援金」も免除されます。
実際の負担はどれくらい? 年収別の目安
次に年収別の負担額を見てみましょう。こども家庭庁が示している、2026年度の会社員1人当たりの「子ども・子育て支援金」の負担目安(健康保険組合や協会けんぽに加入している場合)は、以下の通りです。
「毎月数百円程度なら」と感じるかもしれませんが、年間で換算すると数千円から1万円を超える負担となります。賞与からも差し引かれることを踏まえると、家計管理のうえでは「継続的な固定費」としてしっかり認識しておく必要があります。
なお、上記の金額は2026年度のものです。今後、2027年度、2028年度と段階的に引き上げられる見込みです。手取り額が激変する制度ではありませんが、給与水準が変わらなければ、その分だけ手取りを押し下げる要因になります。給与明細を見る際は、そのほかの社会保険料や住民税など、手取りを左右する項目と併せて確認することが大切です。
わが家にも届く? 子育てを支える6つの支援事業
「子ども・子育て支援金」の使いみちは、次の6つの事業の実施・拡充に限られ、それ以外の目的に充てられることはありません。いずれも、子育てにかかる経済的な負担をやわらげ、働き方に左右されにくい支援体制を整えるために設けられたものです。
注目したいのは、妊娠期から子育てと仕事の両立まで、ライフステージに応じて切れ目なく支援が受けられる点です。妊娠がわかれば「妊婦のための支援給付」、子どもが小さいうちは「出生後休業支援給付」や「こども誰でも通園制度」、仕事に復帰した後は「育児時短就業給付」など、子育て中の「お金」と「時間」の負担を軽減するための制度が整えられています。
なかでも見落とせないのが、国民年金保険料の免除制度です。これまで、会社員は産休・育休中の社会保険料が免除される一方、自営業やフリーランスなど国民年金第1号被保険者は、産前産後の4カ月分しか免除の対象になっていませんでした。それが2026年10月からは、第1号被保険者についても、父母ともに育児期間中の国民年金保険料が免除されます。
母親は、従来の産前産後免除期間に続き、新たに9カ月間(産前産後免除期間と合わせて最大13カ月間)が免除対象となり、2026年度の保険料(月額1万7,920円)で計算すると約16万円分の負担軽減になります。また、父親や養父母も一定の要件を満たせば、子どもが1歳になる誕生日の前月までの期間が免除対象となります。免除期間中も保険料を納めたものとして扱われるため、将来受け取る老齢基礎年金が減額されることはありません。
制度を知り、家計を見直すきっかけに
「子ども・子育て支援金」は、負担のあり方をめぐってさまざまな意見がありますが、少子化という社会的な課題に向き合うための取り組みの一つです。子どもや子育て世帯を社会全体で支援することは、巡り巡って私たちの暮らしを支える社会基盤を維持することにもつながります。
一方で、制度の導入に伴い新たな負担が生じ、家計に影響を与えることも事実です。制度の趣旨を理解するとともに、自身の負担額や家計への影響についても考えてみましょう。
普段は手取り金額だけを見ている人も、給与明細の社会保険料や各種控除の内容・金額を確認すると、毎月のお金の流れをより正確に把握できるようになります。
あわせて家計全体を見直し、「何にいくら使っているのか」「削減できる固定費はないか」を整理してみるのもおすすめです。
現状を把握することは、健全な家計管理の第一歩です。見直しによって生まれた余裕資金を資産形成に回すなど、将来に向けた家計改善につなげていきましょう。
※このコラムは、2026年8月現在の情報を基に作成しています。





