自分にぴったりの保険の選び方や見直しのタイミングは? 保険に関するアンケート結果公開 自分にぴったりの保険の選び方や見直しのタイミングは? 保険に関するアンケート結果公開

オンラインセミナー【働く女性のための『美マネ講座』】 将来の資金をどう育てる?「iDeCo」「つみたてNISA」の活用法

毎日が忙しくてなかなか考える余裕がなくても、安心して生きていくために将来に向けた資金は計画的に準備しておきたいものです。2022年8月27日に開催されたオンラインセミナー「働く女性のための『美マネ講座』」では、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが「ライフプランに合わせた資産形成のコツ」をテーマに講演。節税効果の高いiDeCoや、つみたてNISAを活用する方法などをわかりやすくご紹介いただきました。

人それぞれの暮らしに合わせた資金の段取りを

人生100年時代、給与や公的年金等の「入ってくるお金」でずっと生活することができれば安心です。でも、災害が起きたり病気になったりしたらどうしよう、何歳までお金が必要なんだろうと、不安に思われる方も多いでしょう。そのため、ライフプランに合わせてお金の段取りを組んでおくことが非常に大切になってきます。

人生を25年ずつ4つに区切っても、結婚したり、子どもをもうけたり、家を買ったりと、様々なイベントがあります。自分が何歳の時にどのようなライフイベントがあり、お金がいくら必要になるかをイメージしておいた方が良いでしょう。将来のためにやっておいた方が良いことも、年代に合わせた様々なものがあります。お金の貯め方や使い方は習慣になってしまっていますので、本日のセミナーを通して、こういうことを始めよう、これはやめようと意識していただければと思います。

保険に加入している理由

長い人生を経済的に安心して生活するための方法は、大きくわけて3つあります。1つ目は、公的年金を増やすことです。公的年金は受給開始年齢を繰り下げることができ、選択した場合は受け取る年金額を増やすことができます。2つ目はiDeCoなどを活用することです。iDeCoは公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金の一つです。iDeCoは60歳から受け取ることができるので、公的年金の受給開始を遅らせている間の生活費の穴埋めにもなります。3つ目は、長く働き続けることです。65歳以降も自分に合う仕事をマイペースで長く続けていけば、収入を得ながら生活できるので、経済的に安定した生活を送れる可能性が高くなります。

また、日本には素晴らしい社会保険制度があります。セーフティネットとしてどのような社会保障があり、公的な保障では足りないところを民間の保障でどう補えるかなどを、ぜひ確認していただきたいと思います。

保険に加入している理由

お金を育てる「黄金の3原則」とは

お金を育てるコツは、「積立」「投資」「節税」の3つです。これを私は『黄金の3原則』と呼んでいます。まず、1つ目のコツは、「積立」です。「積立」ならご自身の生活に合わせて少ない金額から無理なく貯蓄することができますし、貯蓄を習慣化させることもできます。ところで、“積立を始めましょう”とお話しすると、お金に余裕がないという方もいらっしゃいますが、家計には必ず、「何に使ったかわかるお金」と「何に使ったかわからないお金」があります。その何に使ったかわからない「使途不明金」を洗い出して、「積立」に回していくことを習慣にしていただきたいと思います。

そして、積み立てを始めるなら、2つ目のコツである「投資」がおススメです。なぜなら、投資というのは長期であればあるほど、複利の効果が非常に大きくなるからです。ここで、国内外の株式でそれぞれ20年間毎月1万円の積立投資をした場合のグラフを見てみましょう。長期になればなるほど、投資効果が大きいことがわかります。さらに、日本だけでなく、世界の株式に分散投資する方が、よりお金を育てやすくなっているということがグラフから読み取れると思います。

契約している生命保険のタイプ(複数回答)

続いて、3つ目のコツである「節税」についてご説明します。 積立制度の中には、非課税で運用できる制度や税制優遇を受けられる制度があります。 例えば、積立投資を通常の課税口座で運用した場合、利益に対して約20%の税金がかかります。それに対して、非課税口座で運用した場合は当然、税金はかかりません。そして非課税制度を活用して約20%の税金を節税するだけで、売却時等の受取額に大きな差が出ます。お金を育てるにはこういった非課税制度をうまく活用すべきで、その代表的なものがiDeCoとつみたてNISAというわけです。

iDeCoに加入できる年齢や対象が拡大

iDeCoは、個人で掛金を毎月積み立てる個人型確定拠出年金です。原則として60歳まで積み立てるとゴールを迎え、積み立てられた掛金と運用益は老齢給付金として、一時金や年金、あるいはその両方で受け取ることができます。

法改正によって2022年5月からは、会社員や国民年金に任意加入している人は65歳になるまで掛金を積み立てることができるようになりました。給付金の受け取り開始時期も60歳から75歳まで選択できるようになり、2022年10月からは企業型DC(企業型確定拠出年金)に入っている会社員もiDeCoに加入しやすくなります。

死亡保険の年代別加入率

iDeCoの税制上のメリットは、「掛金拠出時」「運用時」「受取時」の3つの場面で優遇措置を受けられることです。掛金を拠出する時は、掛金分が全額所得控除の対象になり、所得税と住民税が非常にお得になります。運用中は、運用益が全額非課税となり、効率良くお金を増やすことができます。そして給付を受け取る時にも、一時金で受け取ると退職所得控除、年金で受け取ると公的年金等控除の対象になり、税制優遇を受けられます。

どのくらい節税効果があるかを確かめるには、中央ろうきんのiDeCo特設サイトにある節税シミュレーターを使うとわかりやすいです。シミュレーターでご自身の職業や加入している年金を選ぶと、掛金の上限がわかります。さらに、年収や年齢などの条件を選択すれば、掛金を拠出する時のメリット、運用時のメリット、受け取る時のメリットが算出されます。

たとえば、会社員で企業型DCなどの企業年金に加入していない方の場合は、月額2万3,000円まで掛金を拠出できます。掛金を2万3,000円に設定し、年収500万円、年齢30歳、扶養なし、運用利回り年3%などの条件で算出すると、拠出時の税制メリットが年間5万5,700円、30年運用した時のメリットはなんと約100万円となります。ぜひご自身の条件でシミュレーションしてみてください。

つみたてNISAは老後資金以外にも利用可能

つみたてNISAは、投資信託を年間40万円まで20年間非課税で積立ができる制度です。加入資格は、日本に住民票がある20歳以上の方です。この加入資格は、2023年1月から18歳以上になります。ちなみに、加入できる年齢の上限はありません。特徴の一つとして、積み立ての途中で売却することができます。そのため、老後資金としてだけではなく、教育資金などで必要になった時に全部もしくは一部を使うことが可能です。

年代別:年間支払保険料

つみたてNISAの対象となる商品は、国が定めた要件を満たした株式投資信託やETF(上場投資信託)です。投資信託は様々な種類があり、運用方法には、日経平均株価などの市場の指標と連動するような運用を目指すインデックスファンドと、指標を上回るような運用を目指すアクティブファンドがあります。長くコツコツと続けたい方は、まずはインデックスファンドから始めるのが一般的に良いといわれています。一口にインデックスファンドといっても、日本や先進国、新興国など投資先はたくさんあるので、どの商品がいいのか悩んだ時は、全世界に分散投資できる商品を選んだり、ロボアドバイザーを活用してみたりするのも一つの方法です。

また、商品を選ぶ際には、商品の運用にかかわる会社が受け取る手数料である「信託報酬」にも注目していただきたいと思います。なぜなら、信託報酬が1%違うだけで、長く運用すると大きな差が出るからです。選びたいファンドが見つかったときは、信託報酬や資産規模などもチェックしてみましょう。

保険をどんな理由またはタイミングで見直しましたか?

無理のない範囲で、コツコツ長く続けることが大切

ここで、iDeCoとつみたてNISAの特徴をまとめたいと思います。iDeCoの場合は、拠出時の掛金が全額所得控除となります。運用時は、iDeCoもつみたてNISAも非課税というのが大きなメリットです。さらにiDeCoは受け取る時に公的年金等控除や退職所得控除が使えます。

年代別:年間支払保険料

それぞれの活用法を考えてみると、60歳までは原則お金を引き出すことができないiDeCoは老後資金にぴったり。途中で引き出すことができるつみたてNISAは老後資金だけでなく、教育資金など他の目的にも使えます。個々の目的に合わせて、上手に制度を活用してみてはいかがですか?

将来のお金を育てるためには、どんな状況であっても少ない金額でも良いので、ずっと続けていくことが大切です。iDeCo、つみたてNISAなどを無理のない範囲で、コツコツと長く続けることによって、将来必要となる資金を自然と準備することができるようになります。

※この記事は朝日新聞WORKO!プロジェクト&telling,主催(協賛:中央労働金庫)により、2022年8月27日に開催したオンラインセミナー「働く女性のための『美マネ講座』」の講演内容を基に作成しました。セミナー動画は こちら
※投資信託のご利用に関する留意事項は こちら
※「iDeCo」について詳しくは こちら
※「つみたてNISA」について詳しくは こちら

プロフィール

井戸美枝

井戸美枝事務所代表/ファイナンシャルプランナー(CFP)/社会保険労務士

井戸 美枝(いど・みえ)

講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題や年金・社会保障問題について生活者の立場で解説している。社会保障審議会などの委員も歴任。著書『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)、共著に『今すぐできる!iDeCoとつみたてNISA超入門』(扶桑社)など。