「大相続時代」到来!知っておきたい相続のハナシ
いまの日本では、近い将来、相続が誰にとっても他人事ではない「大相続時代」を迎えるといわれています。とはいえ、「複雑そう…」「難しそう…」といった声も多く、漠然とした不安を抱えたままの方も少なくないでしょう。そこで今回は、いざという時に備えて、今から知っておきたい相続のカンタンな基礎知識をお伝えします。
大相続時代とは?
大相続時代が到来するといわれる理由は、主に2つあります。1つ目は「少子高齢化」です。国立社会保障・人口問題研究所によると、2070年には日本の総人口は現在の約7割に減少し、65歳以上人口は全体の約4割を占めると推計されています(※)。高齢化に伴い「多死化」が進めば、相続の発生率が上昇し、さらに少子化により、「後継者がいない」「相続する人がいない」といった問題が併発してくるわけです。
(※)国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要」
2つ目は「相続税の課税強化」です。2013年度の税制改正により、相続税も増税の対象となりました。改正前の基礎控除額は「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」でしたが、2015年1月1日以降は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」に引き下げられ、相続税を納めるべき対象者が増えました。
こうした状況から、昨今、相続に関する知識を身につけることや相続対策の必要性について叫ばれるようになってきたのです。
相続の基礎知識
初めに、相続全般について確認しておきましょう。
相続とは
「相続」とは、亡くなった人の財産を生きている人が引き継ぐことをいいます。似たものとして「遺贈」「死因贈与」がありますが、次のような違いがあります。
財産の分け方は、遺言書や死因贈与の契約書があればそちらが優先されますが、そういったものがなければ、相続人らの話し合いで決まります。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議がまとまらなければ、家庭裁判所が相続人の間に入って、解決策の提示や助言をします。これを調停といいます。調停が成立しなければ審判に移り、裁判所が財産の分け方を決めることになります。
相続財産とは
相続する財産には、現金や預金、不動産、株といった「プラスの財産」と、借入金などといった「マイナスの財産」があります。亡くなった人に帰属する資格や権利は相続できません。
このほか、死亡保険金や死亡退職金など、死亡をきっかけに相続人が受け取れる「みなし相続財産」があります。
相続人になれる人
民法では、相続人になれる人を次のように定めています。
亡くなった人の配偶者は常に相続人となりますが、血族には相続人になる順番があります。このように、民法で定められた相続人のことを「法定相続人」といいます。
相続財産の分け方
民法では、相続人らが相続財産の分け方を決める際の、分け方の目安を定めています。これを「法定相続分」といいます。
遺言書とは
遺言書とは、亡くなった人が生前「この人に財産を渡したい」という意思を記した書面です。主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2つの形式があります。
遺留分とは
遺言書で相続する人が指定されていても、法定相続人の最低限の相続分まで奪うことはできません。この最低限の相続分を「遺留分」といいます。なお、兄弟姉妹は第3順位の相続人ですが、遺留分はありません。
相続手続きの流れ
相続手続きの流れをまとめると次のようになります。
相続税の基礎知識
亡くなった人の財産を相続すると、相続税がかかることがあります。相続税がかかる条件や相続税の対象となる財産、計算の流れを見ていきましょう。
相続税がかかるケース
相続税がかかるのは、相続財産すべての正味の部分が基礎控除額を超えるときです。基礎控除額は、次の式で計算します。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人とは、先ほど説明した「民法上の相続人」です。法定相続人の数によって基礎控除額は次のように変わります。
なお、基礎控除額を計算するときの法定相続人の数には、次のようなルールがあります。
相続税がかかる財産・かからない財産
相続財産には、課税の対象となるものとならないものがあります。
課税価格は、「プラスの財産」から「マイナスの財産」を差し引いたものに、生前贈与された財産(死亡日以前の7年間に贈与)をプラスして計算します。
この課税価格が基礎控除額を超えると、相続税がかかる仕組みです。
相続税の計算
相続税の計算はやや複雑です。次のような流れで算出します。
なお、相続税の対象となる財産の金額は、相続が始まった日(死亡日)の時価で評価します。
今からできる相続の準備
相続を“争続”としないためにも、今からできる相続の準備として、チェックリストを用意しました。できることから始めてみましょう。
最後に
日本ではまだ生前に遺言書を遺すということが一般に浸透していないため、相続人が亡くなってから慌てて手続きをするケースが多いかもしれませんが、正しい知識を身につけておくことは「相続人」「被相続人」双方にとって安心材料になるでしょう。また、相続では、引き継いだ財産をどのように扱うのかについても重要になってきます。特に現金や預金は、大切に活用したいもの。相続資金に限定した有利な定期預金や運用商品を用意している金融機関もあります。財産とともに亡くなった人の思いも引き継いでいきたいものですね。
※このコラムは、2024年7月時点の情報を基に作成しています。
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