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生前贈与とは?
制度の仕組みや相続との違い、
メリット・注意点を
わかりやすく解説

投資とは?

公開日:2026年10月13日

「生前贈与とはどのような制度なのだろう?」「生前贈与をすると相続税は本当に節税できるのだろうか?」などの疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

生前贈与は、生前に財産を家族などへ譲り渡すことで、相続時の財産を減らせる可能性がある制度です。ただし、贈与税のルールや注意点などを理解せずに進めると、思ったような効果が得られない場合もあります。

この記事では、生前贈与と相続の違いや、生前贈与のメリット・注意点をわかりやすく解説します。また、暦年課税制度と相続時精算課税制度の仕組み、教育資金や住宅取得資金など、贈与・相続に関する特例制度についても紹介します。

1. 生前贈与とは

まずは、生前贈与の基本的な仕組みについて見ていきましょう。

生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を家族や親族など(他人でも構いません)へ譲り渡すことです。

生前贈与では、現金だけでなくさまざまな財産を贈与できます。

例えば、株式や投資信託などの有価証券、自宅や賃貸用物件などの不動産、生命保険に関する権利なども、生前贈与の対象となります。

2. 生前贈与と相続の違い

生前贈与と相続は、どちらも財産を引き継ぐ方法ですが、「財産を渡すタイミング」と「適用される税金」が異なります。それぞれの違いを理解することで、自分の希望や目的に合った方法を選びやすくなります。

2.1. 財産を渡すタイミング

生前贈与の場合、自分が生きている間に財産を譲ります。譲り渡す相手は家族に限らず、家族以外の個人や法人なども対象となり、贈与する人と受け取る人の双方が合意すれば、自由なタイミングで行えます。

一方、相続の場合、財産を所有していた人が亡くなった後に発生します。遺言書がない場合は、原則として法定相続人(法律で定められた遺産を相続する権利を持つ人)が財産を相続しますが、遺言書が作成されていれば、法定相続人以外へ財産を遺すことも可能です。

2.2. 適用される税金

生前贈与の場合、原則として贈与税がかかりますが、贈与を受ける人(受贈者)は、1人あたり年間110万円までは贈与税の申告は不要となります。

一方、相続の場合、相続税がかかりますが、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」までは課税されません。法定相続人が多いほど非課税となる金額も大きくなります。

3. 生前贈与のメリット

生前贈与には、税金面や財産を譲り渡すタイミングなど、さまざまなメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを紹介します。

3.1. 相続税の負担を軽減できる可能性がある

生前贈与を計画的に行うことで、将来の相続税の対象となる財産を減らせる可能性があります。

例えば、贈与税の基礎控除を活用しながら毎年少しずつ財産を贈与すれば、相続時に課税対象となる財産が減り、相続税の負担軽減につながる場合があります。

3.2. 財産の分け方を自分で決められる

生前贈与では、計画的に自宅や賃貸用不動産、株式、現金などの財産を誰に贈与するかを自分の意思で決めることができ、その結果を自分の目で確認することができます。

相続についても、遺言書を作成することで、財産を譲りたい相手に譲り渡すことができますが、その執行や結果を見届けることはできません。

3.3. 自分のタイミングで財産を移転できる

若い世代では、住宅購入や子育て、教育費など、まとまった資金が必要になる場面は少なくありません。

そんな時、生前贈与を活用すれば、子どもや孫などが資金を必要としているタイミングで支援でき、財産を有効に活用してもらえます。

3.4. 相続トラブルの予防につながる可能性がある

相続では、遺産の分け方をめぐって親族間でトラブルが生じることがあります。生前贈与によって一部の財産をあらかじめ整理しておくことで、相続時の負担や争いを軽減できる可能性があります。

ただし、生前贈与だけで相続トラブルを完全に防げるわけではありませんので、遺言書の作成なども含めて総合的に対策を検討することも大切です。

4. 生前贈与の税制(暦年課税制度と相続時精算課税制度)

生前贈与には、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つの課税方法があり、自分の目的に応じてどちらかの方法を選択できます。

適用条件や税金の仕組みがそれぞれ異なるため、特徴をよく理解したうえで、利用する制度を選びましょう。

4.1. 暦年課税制度の仕組み

暦年課税制度では、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産について、受贈者1人あたり年間110万円の基礎控除が設けられているため、年間110万円までの贈与であれば、原則として贈与税はかからず、贈与税の申告も不要となります。

基礎控除は贈与を受ける人ごとに適用されるため、複数の人へ贈与を行えば、その人数分の非課税枠を利用できます。例えば、5人の孫にそれぞれ110万円ずつ贈与した場合、その550万円の贈与分が非課税となります。

また、毎年利用できる制度であるため、長期間かけて計画的に財産を移転させていくことができます。

4.2. 相続時精算課税制度の仕組み

相続時精算課税制度は、贈与時には贈与税を課さず、相続が発生した際に他の相続財産と合算して相続税として精算する制度で、次の2つの控除制度があります。

基礎控除…1年間に相続時精算課税制度における贈与者から贈与された財産の合計額が110万円以下なら贈与税も相続税もかからない
特別控除…相続時精算課税制度における贈与者から贈与された財産のこれまでの累計額が2,500万円以下なら贈与税はかからない

相続時精算課税制度は、原則として、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与で利用できます。

まとまった財産を早い段階で移転することで、収益を生む株式や賃貸用不動産などから得られる収益を相続人に享受させることができたり、課税される時期の差を利用して、税額を小さくすることができる可能性があります。

4.3. どちらを選ぶべきか

少しずつ計画的に財産を贈与したい場合は暦年課税制度、まとまった財産を一度に贈与したい場合は相続時精算課税制度が選択肢となります。

ただし、どちらが適しているかは、財産の種類や金額、贈与の目的、贈与する人・受ける人の年齢や家族構成などによって異なります。

また、一度相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税制度へ戻すことはできません。制度の特徴を十分に理解したうえで、必要に応じて税理士などの専門家へ相談しながら、どちらの制度を利用するか検討するとよいでしょう。

5. 生前贈与の注意点

生前贈与を行う際は、制度や手続きを正しく理解しておくことが大切です。手続きが適切でない場合、想定していなかった税負担が生じる可能性もあります。

トラブルを防ぐためにも、あらかじめ注意点を確認しておきましょう。

5.1. 名義預金とみなされるリスク

口座の名義人と、実際に資金を管理・運用している人が異なる場合、名義預金と判断されることがあります。その場合、譲り渡した財産は、生前贈与として認められず、相続財産として課税対象になる可能性があります。

このような事態を招かないためには、贈与の都度、贈与契約書を作成することや、資金は銀行振込で移動すること、通帳や印鑑は口座名義人本人が管理することなどが大切です。

5.2. 贈与契約書など証拠を残すことが重要

贈与は、財産を渡す人と受け取る人の双方の合意によって成立する契約です。そのため、生前贈与を行った証拠(贈与契約書等)を残しておくことが重要になります。

贈与契約書には、贈与する人・受け取る人の氏名や贈与日、財産の内容などを記載し、双方が署名・押印したうえで、それぞれ保管しておきましょう。

また、例えば、「1,000万円を10年間にわたり毎年100万円ずつ贈与する」という契約を最初に結んでいる場合は、定期贈与(定期金給付契約に基づく定期金に関する権利)と判断され、1,000万円を一括で贈与したものとして贈与税の課税対象になる可能性があります。

計画的に贈与を行う際は、制度の内容を十分に理解したうえで進め、不明な点がある場合は税理士などの専門家へ相談すると安心です。

5.3. 制度変更の影響を受ける可能性がある

贈与税や相続税の制度は、税制改正によって内容が見直されることがあります。

非課税制度や適用条件が変更される場合もあるため、生前贈与を検討する際は、最新の制度を確認したうえで手続きを進めましょう。

5.4. 相続開始前7年以内の贈与は、改正で相続税の対象に

相続や遺贈によって財産を取得する人(相続人)が、相続開始前(被相続人が亡くなる前)に被相続人から受けた生前贈与は、条件によっては、相続財産に加算して相続税が計算されます。

そのため、相続税対策として生前贈与を検討する場合は、より早い段階から計画的に進めることが大切です。

6. 生前贈与の主な贈与先と考え方

財産を贈与する相手によって、利用できる特例制度や税制上の取り扱いが異なる場合があります。ここでは、主な贈与先ごとの特徴や押さえておきたいポイントを解説します。

6.1. 子どもへ贈与する

子どもへの生前贈与では、暦年課税制度や相続時精算課税制度のほかにも、「結婚・子育て資金」や「住宅取得資金」などを対象とした贈与税の非課税特例を利用できる場合があります。

例えば、直系尊属からの「結婚・子育て資金の一括贈与」では1,000万円まで(2027年3月31日まで)、「住宅取得資金の贈与」では、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで(2026年12月31日まで)の非課税枠が設けられています。

6.2. 孫へ贈与する

孫への生前贈与は、若い世代の結婚や住宅購入など、資金が必要なタイミングで支援できる点が特徴です。状況によっては、各種特例制度を利用できる場合もあります。

なお、孫は法定相続人ではなく、死亡保険金・死亡退職金の受取人でもない場合には、前述した生前贈与の加算の対象外となります。

6.3. 配偶者へ贈与する

配偶者への生前贈与では、婚姻期間が20年以上の夫婦を対象に、自宅または自宅の購入資金を贈与する際に利用できる、通称「おしどり贈与」という特例があります。

この特例を利用すると、110万円の基礎控除に加え、最大2,000万円までの贈与税が非課税となり、合計2,110万円まで非課税で贈与できます。

また、配偶者には相続税の「配偶者の税額軽減」という制度もあり、一定額まで相続税がかからないケースもあるため、生前贈与と相続のどちらが適しているかは、財産の状況などによって判断することになります。

6.4. 家族以外へ贈与する

生前贈与は、配偶者や子・孫などの親族だけでなく、事実婚のパートナーや親しい知人、お世話になった人などに対して行うこともできます。法定相続人ではない相手へ財産を引き継ぎたい場合にも、有効な方法の一つです。

ただし、高額な贈与を特定の人へ集中して行うと、将来的に遺留分(一定の相続人に認められた最低限度の遺産をもらえる権利)を巡るトラブルにつながる可能性があります。贈与を行う際は、家族全体への影響も考慮しながら進めることが大切です。

7. まとめ

生前贈与は、大切な家族や希望する相手へ、自分の意思で財産を引き継げる方法です。暦年課税や相続時精算課税をはじめとする制度や各種特例を活用することで、計画的な資産承継や相続税対策につながる場合があります。

一方で、名義預金と判断されるリスクや、相続開始前7年以内の生前贈与に関するルールなど、制度を利用する際には注意すべき点もあります。また、どの制度や方法が適しているかは、財産の内容や家族構成、将来の資産承継の考え方によって異なります。

〈中央ろうきん〉では、「遺産整理・遺言信託」取次業務も行っています。生前贈与や相続対策について検討されている方は、お気軽にご相談ください。

監修者情報

執筆・監修者

氏家祥美
ハートマネー 代表
ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント

2005年にFP会社設立に参画しFP相談を開始。2010年に独立してFP事務所ハートマネーを設立。「お金」「キャリア」「聴く力」を強みとして、その人らしい人生地図作りをサポート。子育て世代の貯める仕組み作りから、定年前後の世代まで幅広い相談実績を持ち、人生の転機をサポートしている。

  • 本記事は情報提供を目的としており、特定商品の勧誘目的で公開しているものではありません。
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  • このコラムは、2026年9月時点の情報を基に作成しています。

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