中央ろうきん若者応援ファンド

インタビューコラム
いま、なぜ若者応援が必要なのか?第4回

第4回

「働くことの権利」を知り、第2のセーフティネットで若者を応援する

労働者福祉中央協議会(中央労福協)事務局長 大塚 敏夫さん

おおつか・としお
1951年、静岡県島田市生まれ。77年に自治労本部入職。
90年から自治労中央執行委員。05年から連合常任役員、中央労福協事務局長代行を経て現職。

中央労福協は労働組合と協同組合の事業団体が加盟し、勤労者の生活支援をしている組織です。私たちが相談を受けた若い人の中には、3ヵ月契約を5年も更新され続ける契約社員、能力評価という名目で年俸300万円を毎年50万円も減額されている正社員もいました。

高卒の求人が少ないので、とりあえず大学へ行こうと奨学金を借りたのに卒業後、仕事に就けず、返済と5%の延滞金に苦しみ、保証人の親族からも見放されて孤立する若者もいます。高校でも奨学金制度のリスクや、「アルバイトでも有給休暇が取れる」といった労働基準法の規定について教える必要があります。若い人自身が「働くことの権利」を知れば、ブラック企業は排除されていくからです。

来年4月から、生活困窮者自立支援制度が始まります。今は、孤立した人が仕事を失ったら生活保護しかありません。これに加え“第2のセーフティネット”が必要です。たとえば、ひきこもりや精神的な理由から働けない若者が自信をつけて一般就労へと移行していく中間的就労、職業訓練は受けたが仕事がない人と人手不足の中小企業とのマッチングなど寄添型の支援制度が必要です。

若い労働者が安心して生活できる場所がないと、日本社会は底が抜けます。この課題に、社会を共につくるパートナーとして中央ろうきんが取り組み、仕事起こしをする人や団体への支援など生活困難な若者をどう支えるかを、市民団体やNPOとともに考えるネットワークが育っていくことを期待しています。

「ビッグイシュー日本版」第245号(2014年8月15日発売)より転載