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住宅ローンの
借換えに手数料は
いくらかかる?
借換えはするべき?

住宅ローンの借換えとは、いま契約している住宅ローンから、より低金利で有利な条件の住宅ローンに乗り換える手続きのことです。住宅ローンの契約中に「住宅ローンの負担を減らしたい」「住宅ローンの契約内容を見直ししたい」などの理由から借換えを検討することもあるでしょう。

住宅ローンの借換えによって金利が下がると、毎月の返済額や返済総額を減額でき、100万円以上のメリットを得られる場合もあります。この記事では、住宅ローンの借換えにかかる手数料や借換えのメリットなどを解説します。

住宅ローンの借換えにかかる手数料とは?

住宅ローンを借換えるときは、諸経費として手数料が発生します。手数料の金額は契約内容などによって異なりますが、30万円程度から100万円に達することもあります。
まずは、住宅ローンの借換えでどのような手数料が発生するのか、どの会社に対して支払うのかを解説します。

利用中の住宅ローンに関する手数料

住宅ローンの借換えをする際は、まず新しく契約する金融機関から融資を受け、利用中の住宅ローンを一度完済しなければなりません。その手続きをおこなううえで、いくつかの手数料が発生します。

全額繰上返済手数料

契約している住宅ローンを全額繰上返済するための手数料です。金融機関ごとに手数料の有無や手数料額は異なります。

全額繰上返済手数料は3万円前後が一般的ですが、手続き方法や契約している金利タイプによって変わります。

保証会社事務手数料

保証会社事務手数料とは、住宅ローンの全額返済の際、保証会社に支払う手数料です。

住宅ローンの契約時に保証料を一括で支払っていた場合、全額繰上げ返済することでローンの残存期間に応じた保証料が一部返金されることがあり、その手続きに関する事務手数料がかかる場合があります。
金額は金融機関ごとに異なりますが、一般的には1万円前後の設定です。

新たに組む住宅ローンに関する手数料

借換え先の金融機関で住宅ローンを借りる際にも手数料が発生します。発生する手数料は以下の3つです。

事務手数料(融資手数料)

事務手数料は、住宅ローンの新規契約に関する事務費用(ローン審査や契約業務への対価)として金融機関に支払う手数料です。融資手数料と呼ばれることもありますが、内容に違いはありません。

事務手数料には定額型と定率型の2種類があります。定額型と定率型のどちらが採用されているかは、金融機関によって異なります。手数料額は、定額型で3~5万円前後、定率型で借入金額の2.2%程度をみておくと良いでしょう。

保証料

住宅ローンの保証料は、保証会社に支払う費用です。万一、ローンの返済ができなくなった場合に、保証会社が契約者に代わりローンの残債を金融機関へ一括返済してくれます。
ただし、契約者の債務は免除されず、返済先が金融機関から保証会社に移るだけで保証会社に対して返済義務が生じます。

保証料にかかる費用は金融機関ごとに異なり、保証料の支払いには、一括前払い方式と、毎月の金利に上乗せして払う金利上乗せ方式の2種類があります。

印紙税

印紙税は、住宅ローンの契約の際に発生する税金です。住宅ローン契約書は、印紙税法上の「金銭消費貸借契約書」にあたり、印紙税という形で税金を納付します。印紙税額は借入額によって異なり、一般的な住宅ローンの金額なら1万円~6万円となります。

借入金額 印紙税額
100万円を超え500万円以下 2,000円
500万円を超え1,000万円以下 1万円
1,000万円を超え5,000万円以下 2万円
5,000万円を超え1億円以下 6万円

出典:国税庁|No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

登記手続きにかかる手数料

住宅ローンの借換えでは、新たな融資先からお金を借りて、元の金融機関に残債を一括返済しますが、その際、抵当権の登記手続きをおこないます。現在組んでいる住宅ローンを完済するにあたっては抵当権の抹消登記が必要で、新たな融資先で住宅ローンを組むにあたっては抵当権の設定登記が必要となります。

なお、登記手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合は、別途、司法書士報酬手数料が発生します。

抵当権抹消(現在組んでいる住宅ローン)

住宅ローンの繰上返済が完了したあとに、設定されている抵当権を抹消する手続きです。ご自身で抵当権の抹消手続きを行う場合、登録免許税として、不動産1件につき1,000円、土地と建物を合わせて2,000円が必要です。なお、司法書士に依頼する場合は、追加で1万円から2万円程度かかります。

抵当権設定(新たに組む住宅ローン)

住宅ローンを借換えると同時に、抵当権の設定登記をおこないます。一般的には司法書士に依頼するため、登録免許税のほかに司法書士への費用を含めたものとなります。
必要になるのは抹消時と同じく登録免許税で、原則として借入金額×0.4%が必要です。なお、一定の要件を満たした場合、登録免許税の税率の軽減措置が適用される場合があります。

出典:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表

〈中央ろうきん〉では、必要な手数料を含めた借換えプランをご提案しています。

その他の費用

前述の手数料以外に、住宅ローンの借換えでは次の費用がかかります。

団体信用生命保険

団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に保険金によりローンを完済し、ローン残高を0円にするための保険です。団信があることで、万が一の場合であっても、残された家族の負担を軽減することができます。また、死亡や高度障がいの場合だけでなく、特定疾病保障をつけた特約付き団信もあります。

火災保険・地震保険(共済)

火災保険は、住宅や家具(家財)などの損害を補償するためのものです。火災による損害はもちろん、風災や雪災、水災、盗難なども対象になります。保険料は、戸建てかマンションか、建物の構造、建物の所在地などで変わります。

住宅ローンと火災保険の契約は別々であるため、住宅ローンの借換え後も同じ火災保険に加入し続けることは可能ですが、住宅ローンの借換えを契機に補償内容の見直しを検討しても良いでしょう。

例1:火災保険の保険金額の設定が「新価」「時価」のどちらになっているか

  • 新価:保険の対象となる建物や家財と同等のものを新たに建築・購入するのに必要な金額
  • 時価:新価から「経過年数による価値の減少」「使用による消耗分」を差し引いた金額

例2:地震保険に加入しているか

手数料はどのように支払う?

お金と電卓と書類

住宅ローンの借換え手数料の支払い方法としては、自己資金で支払う方法と、住宅ローンに含める方法の2つがあります。

自己資金で支払う

借換え手数料を自己資金から支払う方法です。借入額が単純に住宅ローンの残額のみで済むため、次に説明する「手数料を新たなローンに含める場合」よりも返済負担が軽くなることがメリットです。ただし、手数料を支払う時点で一定の現金を用意しなければいけない点がデメリットです。

新たな住宅ローンに含める

借換え手数料を新たに組む住宅ローンに上乗せする方法です。自己資金に余裕がなくても借換え可能であることがメリットですが、手数料分を加算することで住宅ローンの借入額が増えてしまうことがデメリットです。ローン残高が増えてしまうと、借換えによる軽減効果が薄れてしまいます。

住宅ローンの借換えをおこなうメリット

住宅ローンの借換えをすることで以下のような悩みや不安を解消できる場合があります。

  • 住宅ローンの月々の返済額を少しでも減らしたい…
  • 住宅ローン以外にも教育費や車のローン、リフォームなど心配なことが多い…
  • 現在変動金利型の住宅ローンを利用しているけど、金利が上がるのか心配…

住宅ローンを借換えることで得られるメリットを、より具体的に見ていきましょう。

住宅ローンの総返済額を減らせる

借換えによって今よりも低金利なローンに借換えれば、返済総額が少なくなります。

借入金2,000万円ある方が金利年2.0%のローンから年1.5%のローンに借換えた場合と、年0.375%のローンに借換えた場合で、それぞれ返済額の違いを試算してみました。

【前提条件】

  • 借入残高:2,000万円
  • 残り返済期間:20年
  • ボーナス返済:なし
  • 金利年2.0%のローンから年1.5%のローンに借換えた場合
金利年2.0%のローン
(借換え前)
金利年1.5%のローン
(借換え後)
借換えの減額効果
毎月の返済金額 101,176円 96,509円 ▲4,667円
1年間の返済額 1,214,112円 1,158,108円 ▲56,004円
返済総額 24,282,240円 23,162,160円 ▲1,120,080円
  • 年2.0%から年0.375%のローンに借換えた場合
金利年2.0%のローン
(借換え前)
金利年0.375%のローン
(借換え後)
借換えの効果
毎月の返済金額 101,176円 86,510円 ▲14,666円
1年間の返済額 1,214,112円 1,038,120円 ▲175,992円
返済総額 24,282,240円 20,762,400円 ▲3,519,840円
  • 上記計算例は計算上の返済シミュレーションであり、特定の商品と比較するものではありません
  • 返済シミュレーションは金利が変動しないことを前提に計算しています
  • 上記計算例は元利均等毎月返済方式で計算しています

住宅ローンの月々の返済額を減らせる

上記の表のとおり、借換えによって金利が下がれば、返済総額が減るため、借換え前と同じ返済期間であれば、毎月の返済額も減額できます。毎月の支出額を抑えられれば家計の負担を減らすことができ、減額分を子どもの教育費用や資産運用など別のことに利用できます。

住宅ローンの金利上昇リスクの回避

住宅ローンの金利には、金利情勢に応じて変動する変動金利と、借入時点の金利が完済まで適用される固定金利があります。一般的に変動金利は固定金利よりも低い設定であるため、毎月の返済額を抑えることができますが、一方で金利が上がる可能性もあります。そのため、金利情勢次第では毎月の返済額や返済総額が増えてしまうリスクがあります。
固定金利の住宅ローンに借換えれば、金利上昇による返済額の増加リスクを回避でき、将来の返済の見通しが立ちます。

自分の場合はお得になる?シミュレーションしてみよう

電卓と家とお金のマーク

実際に借換えをして本当にお得になるのか、どれくらいお得になるのかは、実際に試算してみないとわかりません。借換えを検討されている方は、借換えシミュレーションにご自身の契約内容と借換え後の希望の契約内容を入力し、試算してみましょう。

シミュレーションをするために必要な情報は以下のとおりです。

  • 現在の借入残高
  • 現在の住宅ローンの金利
  • 現在の住宅ローンの残りの返済期間
  • 借入希望額
  • 借換え先の住宅ローンの金利
  • 希望する金利タイプ
  • 新たな希望借入期間
  • ボーナス返済の有無

現在利用している住宅ローンの返済予定表があると、借換え前のローンの必要項目をスムーズにシミュレーションできます。ぜひ以下のリンクよりお試しください。

まとめ

住宅ローンの借換えは金利差だけでなく、手数料を含めたトータルコストで検討することが大切です。

住宅ローンの借換えについての整理

金利の低い住宅ローンへの借換えで、毎月の返済額の減額や返済期間の短縮などのメリットが期待できます。また、変動金利から固定金利への借換えでは、金利上昇による負担増の不安を解消できます。一定の手数料はかかりますが、借換えで得られるメリットが手数料よりも大きければ、手数料がかかっても借換える価値があります。

借換えして得したお金を有効利用

借換えにより返済額が減って資金に余裕ができれば、ほかの用途に資金を回せます。住宅ローンの繰上返済用にプールしておく、子どもの教育資金にあてるほか、資産運用に回す選択肢もあるでしょう。

住宅ローンに負担を感じている方、より良い条件での返済を模索しているという方は、ぜひ借換えを検討されてみてはいかがでしょうか。

このコラムは、2024年3月時点の情報を基に作成しています。

監修者情報

山﨑裕佳子 FP事務所MIRAI 代表

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、証券外務員二種保有。
通関士として通関業務、メーカーにて海外営業事務、銀行にてテラーなど経験し、FPの道へ。
2022年「FP事務所MIRAI」設立。家計の見直しでMIRAIを変えるをモットーに、各種相談、金融記事執筆、書籍監修等、幅広く活動している。

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