中央ろうきん助成制度|生きるたのしみ、働くよろこび カナエルチカラ

選考委員長による選後評
選考結果
2022助成の選考について

選考委員長

横田 能洋

認定特定非営利活動法人 茨城NPOセンター・コモンズ 代表理事

≪プロフィール≫
1991年茨城大学卒業後、(社)茨城県経営者協会に就職し企業の社会貢献活動推進などを担当。1998年に茨城NPOセンター・コモンズを設立し転職。2015年コモンズ代表に就任、NPO運営相談のほか、若者、移動困難者、外国人、災害被災者など制度外福祉に取り組む。自宅のある常総市が鬼怒川水害で被災し、地元の復興と多文化共生に取り組む。

コロナ禍における「生きるたのしみ、働くよろこび」とは

〇“カナエルチカラ”はコロナ禍での取り組みも支援

 “カナエルチカラ”2022の選考を終えて、まず応募いただいた団体の皆さまや審査に関わった各地の方々にお礼申し上げます。格差の拡大や貧困の問題、働き方の見直し、人的多様性などがいわれてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大はさらに困難な状況を生み出しています。今まで当たり前に集えていた場に行けない、友達とも家族とも会えない、それが日常になってしまいました。そのような中で会合をオンラインに切り替えたり、食事会を食料配布に切り替えたり、各団体が今できる活動を模索しながら活動を続けようと試行錯誤しています。助成金はそうした取組みを資金面で応援する仕組みですが、この“カナエルチカラ”は、「生きるたのしみ、働くよろこび」をテーマにし、関東1都6県と山梨県というエリアで、最大3年目まで継続して人件費も含めて助成するという特徴をもつ助成プログラムです。
 私達は、各応募団体の企画書や継続助成の場合は1年目や2年目の実績報告を読ませていただき、各選考委員の多様な視点、関心をもとに率直な討議を行いました。その上で限られた原資をどの事業にお渡しするか選択させていただきました。採択された団体の皆さまにはぜひこの資金を有効にご活用いただき、事業や組織を発展させてほしいと思います。残念ながら対象とならなかった事業についてもぜひ財源を確保し想いを実現してほしいと思います。

〇地域の人との関わりが孤独を防ぐ

 ここでは、今年度の応募案件に関する傾向と、選考委員会で協議している中で出されていた声をいくつか紹介したいと思います。一つは、課題の当事者だけでなく、当事者によりそっている人を対象にした提案が比較的多く見られました。障がいをもつお子さんと暮らす家族の新たな仕事や社会への関わり方をつくるとか、外国籍の方の暮らしのパートナーになる市民をマッチングする取組みがありました。マッチングといえば、中高生と地域の先輩をマッチングする取組み、地域の高齢者がハーブを育てたり、若者と話したりするなどの役割を担うという企画もありました。いずれも孤独を防ぐのは制度だけでなく地域の人が関わることの意義を示しています。この助成がテーマに掲げる生きるたのしみ、働くよろこびも、他の人との関わりが重要な意味をもちます。その関わり方として遊びやアート、スポーツは大きな可能性をもっています。こんな寒く乾いた時代だからこそ、心のうるおい、地域で交わる場が大事な意味をもつのだといくつもの企画書から感じました。

〇“カナエルチカラ”のテーマを改めて考えよう

 近年NPO法人向けの助成の選択肢が増え、傾向として数字で測れる成果を重視する助成プログラムが増えていると感じます。この“カナエルチカラ”の選考では、テーマをどう企画書で表現されているかに注目しました。改めて、生きるたのしみ、働くよろこびに、自らの活動がどうつながるのかを考えていただきたいと思います。2年目、3年目の企画の審査では、このテーマに即してどのような進展や新たな発見があったのかに注目しました。活動の必要性は頭では理解できますが、前年と同じような計画だと、今年は何をしたいのかが心に伝わりにくいという声がありました。コロナ禍で事業が計画通りにいかないのが普通なのに「概ね計画通りに取り組めている」と書かれた団体が多く、それには少し違和感がありました。壁にぶつかったら仲間と相談し、助成元にも相談して取り組みを柔軟に変更することも大切です。曲がり角の先にはいいことがあるかもしれません。最期に継続助成の対象になられる方々には、2年間、3年間の活動を通じて何を積み重ねることができたかをぜひ報告で示してほしいと思います。皆さまの事業の発展を心からお祈りしております。