中央ろうきん助成制度|生きるたのしみ、働くよろこび カナエルチカラ

選考委員長による選後評
選考結果
2021助成の選考について

選考委員長

横田 能洋

認定特定非営利活動法人 茨城NPOセンター・コモンズ 代表理事

≪プロフィール≫
茨城大学在学中に障がい者運動に出会い、茨城県経営者協会で企業の社会貢献を研究する中でNPOを知り、1998年のNPO法成立を受けコモンズを立上げ転職。NPO普及や相談研修を始める。リーマンショック後に自宅のある常総市で外国人支援をはじめ2015年の常総水害で被災したあとは災害復興と多文化共生のまちづくりに取り組んでいる。

コロナ禍のなかでできることや、すべきことを考えましょう

 沢山の方々に応募いただいた“カナエルチカラ”2021の選考が終わりました。応募いただいた団体の皆さまと選考に関わった皆さまにお礼申し上げます。「生きるたのしみ、働くよろこび」というユニークな助成テーマが徐々に浸透したのか、遊びや野外活動、音楽、芸術に関する活動が増えてきた印象があります。それ以外に今年度の選考で感じた応募事業の傾向と所感を記したいと思います。

○コロナ禍による状況変化に対応した動き

 コロナ禍という大きな状況変化は、施設での面会制限や公共施設の閉鎖など、人と人が関わる活動に大きな制約をもたらしています。多くの団体が「感染予防と人との関わりの両立」という難しいテーマに直面しさまざまな工夫をしていることを企画書から知ることができました。施設に訪問し対面で行っていた活動をやめて教材を送付してオンラインで研修を行っている例や音楽をDVDに入れて施設に届けようとする活動も見られました。コロナ禍であっても人と話したい、余暇を楽しみたい、学びたいというニーズがなくなるわけではありません。感染予防をした新たな形での余暇の保障や、オンラインも活用しながら人が人とつながる活動がさらに広がることを期待したいと思います。

○活動の対象拡大や空きスペースの活用

 コロナ禍の中で従来行っていた活動がしにくくなった団体からは、従来と異なる対象の方に向けた活動提案も多く寄せられました。空き家を活用したまちづくりをしている団体やアウトドア系の団体が不登校のこどもやひきこもりがちな若者向けの事業を行ったり、アーティストが医療施設にいるこどもを訪れるなどの活動が目を引きました。単発的に行う活動をどう継続的な活動にしていくかに注目したいと思います。

○場の活用に関する取組み

 空き家、空きスペースの活用に関しても、保育つきのテレワーク用の場づくり、空き家マッチングの仕組みづくり、若者同士や、高齢者と若者のシェアハウスに関する取組みが各地で行われています。廃校活用の事例もありました。場で何をするか、に加えて何をそこで生み出すかを盛り込んだ企画書が増えることを期待します。

○仕事や社会参加への新たな支援

 「はたらく」に関しても、従来の職場、仕事とは異なることができるようオンラインで在宅ワークの仕事のトレーニングをしたり、転職相談をしたり、障がいのある人や外国ルーツの方のコミュニケーションの課題についてITを活用しようとする取組みがみられました。しかし一方で、障がい者就労支援も含めて、全体的に「はたらく」に関わる応募が少ないようにも感じました。助成テーマに関して言えば、育児や介護、治療をしながら働く人、職場に居場所がない人など、働くよろこびを感じにくい人たちに光をあてた活動が今後増えることを期待します。

○継続助成に向けて質的変化の発信を

 この助成は最大3年間継続して受けることができますが、助成の継続では前年度の成果と課題が具体的に示されることが求められます。中間報告では、「何をしたか」だけではなく、それによって「誰が、何が、どう変わったのか」の発信を期待します。上記のようにコロナ禍で活動も変化しています。例えばオンラインでの対面支援や交流活動にはどんな可能性と難しさがあるか、なども説明してもらえたらと思います。

○今後の「生きるたのしみ、働くよろこび」への期待

 医療や福祉の現場で働いている人や、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人がコロナ禍のなかでも社会を支えてくれています。また飲食・サービス業で経営環境が悪化し仕事を失う人もいます。そうした方々の「はたらく」を応援する企画は少なかったように思います。また、さまざまなイベントや活動が自粛ということで取りやめになり、ボランティアの機会も減る傾向にあります。そうしたなかで、再度、人との関わりにおける「生きるたのしみ」を感じられるような、新たなボランティア活動に関する応募が今後増えることを期待したいと思います。