2025年 選考結果
選考委員長による選後評
2025年度助成の選考について

選考委員長
手塚 明美
一般社団法人 ソーシャルコーディネートかながわ 代表理事
≪プロフィール≫
地域活動と社会教育活動の経験を生かし、NPOの支援を通じたまちづくり団体を設立。その後、県内各地のNPO支援者と共に広域かつ多様なセクターとの連携を目指した組織を創設し現在に至る。
NPO支援の在り方を柱に、情報収集と発信を進め、非営利組織のあり方や組織の自己診断および社会的な評価に取り組んでいる。
非営利組織の新しい風
2025年度助成の選考委員会が終了しました。選考のポイントは、「新規性」「必要性」「実現性」「協力性」「発展性」です。更に、継続助成となる2年目・3年目の助成は「定着や更なる拡大発展」も考慮します。なかでも「発展性」は評価が難しく、選考に苦慮した委員も多かったようです。本助成制度は、非営利型の法人格を持つことも資格要件となっているため、一定の継続性は保たれることから、選考ポイントに「継続性」はありませんが、やはり「実現性」「協力性」といったポイントでは、活動の持続可能性を期待するコメントが寄せられていたことが印象的な選考委員会でした。
最近、非営利組織の持続に関する相談を受けることが多くなりました。市民活動支援組織の会議や情報交流会等でも非営利法人の組織継続や継承が話題になることも少なくありません。解散や合併もある一方で一定数の設立もあります。ある種の新陳代謝が進んできています。非営利法人全ての団体数は、把握がなかなか難しいのですが、NPO法人は内閣府が統計情報をまとめて公表しています。その統計によれば、NPO法人数のピークは、2018年3月末の51,866団体でしたが、2024年12月末には、49,580団体と減少しています。設立数が解散数を下回ってきたのです。NPO法が施行された1998年12月以降、76,392団体のNPO法人の設立がありました。統計では、この内の35%にあたる26,812団体の解散がありました。解散と聞くと残念なイメージがありますが、実はNPO法人は解決すべき課題の解決に至った場合の前向きな解散もありますし、合併も少なくありません。また、2008年から設立ができるようになった非営利型一般社団法人や2022年に誕生した労働者協同組合法人といった非営利法人の選択肢も増え、新たな社会的課題の解決を目指して、別の組織として各種法人を設立する市民も増えてきました。
このような状況のなか、本年度の応募総数は、昨年度に続き2割増の78件と多くの団体の皆さんにご応募いただきました。特に助成1年目の応募は、50件を超え、新しい風が吹き始めた感触がありました。助成1年目応募団体の設立年を見てみると、コロナ禍で活動の制約が厳しい時期と思われる2020年~2022年に設立している団体の応募に目が留まりました。その皆さんこそが、新しい風を運んできているのではないかと感じました。勿論、10年以上活動を続け、新しい取り組みを試みる団体の応募もあり、広い分野で社会の課題を市民目線で捉え、解決に向かう姿を見て取ることができました。3年目に応募の皆さまには、短い時間でしたがプレゼンテーションをしていただき、ここでも新しい風を感じることができました。しかしながら、限られた予算内の選考となりますので、全てのご要望にお答えできてはおりません。今回残念な結果となった皆さまには、ぜひ再度のチャレンジを期待しています。そして採択が決定した団体の皆さまには、本助成制度のテーマである「生きるたのしみ」と「働くよろこび」の理念のもと、「カナエルチカラ」を存分に発揮していただきたいと思います。
本年も大変難しい選考でしたが、何とか取りまとめることができました。都県選考も含め、選考に関係した皆さまのご協力に感謝申し上げます。