2026年 選考結果
選考委員長による選後評
2026年度助成の選考について
選考委員長
手塚 明美
一般社団法人 ソーシャルコーディネートかながわ 代表理事
≪プロフィール≫
地域活動と社会教育活動の経験を生かし、NPOの支援を通じたまちづくり団体を設立。その後、県内各地のNPO支援者と共に広域かつ多様なセクターとの連携を目指した組織を創設し現在に至る。
NPO支援の在り方を柱に、情報収集と発信を進め、非営利組織のあり方や組織の自己診断および社会的な評価に取り組んでいる。
つながりの力を、地域の力へ
現代の社会生活における課題として、急速な少子高齢化と人口減少を背景に、経済的・社会的な「格差」や「孤立」が深まりつつあることが挙げられます。中でも、経済的・教育的格差の拡大に伴う貧困問題は深刻であり、特に「子どもの貧困」や「相対的貧困」が大きな社会課題となっています。こうした状況は教育機会の格差にもつながり、将来の雇用や健康にも影響を及ぼす可能性があります。
さらに、都市化やライフスタイルの変化によって地域コミュニティのつながりが弱まり、人との関係性が希薄になる中で、望まずして孤独や孤立に向かってしまう人が増えているとも指摘されています。近年では、孤独や孤立が喫煙や肥満と同様に健康へ悪影響を及ぼすことが、多くの研究によって示されています。しかし、孤独そのものを直接治療する「薬」は存在しません。
だからこそ、人と人との「つながり」が健康寿命の延伸に大きな効果をもたらすという知見には、重要な意味があります。2024年4月には 孤独・孤立対策推進法 が施行されるなど、社会的なつながりの重要性が改めて注目されています。
そのような中で関心を集めているのが「社会的処方」です。これは、地域活動やコミュニティへの参加を一つの「処方」として提案し、孤独の軽減や健康の向上を目指す取り組みです。医療の枠組みを超えた新たなアプローチとして、医療従事者の間でも関心が高まりつつあります。そして、このような「つながりづくり」は、まさにNPOが得意とする分野でもあります。社会の中で人と人を結び直していく役割として、NPOへの期待はこれまで以上に高まっていると言えるでしょう。
このような状況下で、本年度も中央ろうきん助成制度“カナエルチカラ”の募集を行い、首都圏の1都7県から、63件の応募をいただきました。設立3年未満の新しい団体による意欲的な挑戦が際立つ一方で、経験豊富な団体による示唆に富んだ新しい提案もあり、いずれも組織のミッション達成に向けた「多様なつながりづくり」が盛り込まれた、力のこもった応募ばかりでした。
選考にあたっては「新規性」「必要性」「実現性」「協力性」「発展性」の5項目を基準としました。「必要性」については、ほとんどの事業が高い評価を得ていました。しかし、「実現性」や「協力性」「発展性」などの面においては、各選考委員の評価が分かれた事業もあり、また助成枠に限りがあることから、苦渋の決断として見送らざるを得ない事業もありました。
今回、残念ながら採択に至らなかった皆さまにおかれましても、地域の課題に真摯に向き合い、強い情熱と具体的な計画をもって応募してくださったことに、心より敬意を表します。どの事業も地域にとって不可欠なものであり、皆さまの取り組みそのものが、すでに地域の「つながり」を力強く育んでいることを実感いたしました。
限られた財源の中での選考という制約をご理解いただくとともに、皆さまのご活動が、今後の事業のブラッシュアップや新たな連携、そしてより大きな成果へと繋がっていくことを願っております。次年度以降の再挑戦も、心よりお待ちしております。
最後に、本年度も多くのご応募をいただきましたことに、深く御礼申し上げます。本助成制度が、地域における多様なつながりづくりの後押しとなり、皆さまの活動がさらに発展していくことを祈念し、選考の総評とさせていただきます。


















